関東大震災、横浜はなぜ大火に? 市大研究者が実態分析 風向き変化、橋の被害も重なる

デジタル化した火災延焼状況図を示す後藤准教授=15日、横浜市大みなとみらいサテライトキャンパス

 関東大震災で横浜はなぜ大火に見舞われたのか─。横浜市立大の研究者がその背景に迫る講座が15日、同市西区であった。各種の調査記録をひもとき、出火や延焼の実態を分析。「風が強く、風向きも変化した。橋の被害が重なり、かなり複雑な状況だった」と人々の避難を妨げた要因を挙げた。

 震災で約2万6千人余りが犠牲になった横浜の出火地点は289カ所に上り、炎の竜巻と形容される「火災旋風」も多発したと報告されている。

 石川永子准教授(防災まちづくり)は「中心部の市街地、特に埋め立て地で揺れによる建物の被害が顕著で、壊れた建物から火災が起きた」と指摘。同じように延焼火災で焦土と化した東京より建物の全壊率が高く、「住宅や料理店だけでなく、工場や大衆浴場からも出火した」と説明した。主な出火原因は、かまどや火鉢、七輪などだった。

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