ザ・キャビンカンパニーが新作絵本を出版 日暮れのさまざまな風景切り取る【大分県】

新作「ゆうやけにとけていく」を出版したザ・キャビンカンパニーの吉岡紗希さん(左)と阿部健太朗さん=由布市挾間町のアトリエ

 大分市在住の絵本作家、ザ・キャビンカンパニーが「ゆうやけにとけていく」(小学館・1870円)を出版した。夫婦で活動する阿部健太朗さん(34)と吉岡紗希さん(35)は「新型コロナウイルス禍もあり、悲しい気持ちを抱えた人に、そっと寄り添えるものを届けたかった」と話している。

 「ゆうやけに―」には、ストーリーはなく、日が暮れる時間帯の、さまざまな風景を切り取り、四季折々の一日の終わりを表現した。麦畑、夏のプール、家路を急ぐ親子など、どこか懐かしい景色がページをめくるたびに現れる。

 コロナ禍では阿部さん自身も同い年の友人をがんで亡くし、つらい思いをした。闘病中は面会もできず、オンラインで画面越しに見舞い、どう声をかけていいか分からなかったという。

 外出を控える日々が続く中、2人は、周囲の豊かな自然に目がいくようになったという。「人が右往左往する中、自然は変わらない。夕日を眺めている時、そっと包んでくれるように感じたんです」と阿部さん。

 吉岡さんは「哀愁を感じる時間帯を、美しい絵で描きたかった。喜びも悲しみも夕焼けに溶けて、星の光になる、詩的な本を目指しました」と話している。

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