20年で人口3倍!?札幌の“創成イースト”に熱視線

今回のテーマは、札幌で注目を集めているエリア「創成イースト」。札幌の中心部を流れる創成川の東側のエリアで、明確な定義こそないものの、創成川と北8条通、東8丁目通、それに国道36号に囲まれた約134ヘクタールのエリアを表す。

※地図はイメージ

【創成イーストの商業施設“サッポロファクトリー”】

創成イーストの代表的な商業施設「サッポロファクトリー」。ことしで開業から30年。創成イーストの移り変わりを見続けてきた商業施設だ。

サッポロファクトリーの売上高はコロナの影響によって大きく減少したが、現在はアウトドアに特化したテナント戦略が効果を上げ回復基調にある。テナントの中には、子ども向けの店も。ファクトリーは2019年に施設内に一時保育にも対応する保育園を設け、それに合わせ子供服やおもちゃの売り場も徐々に拡充している。

創成イーストエリアの人口は、この20年あまりで急激に増加。2000年には6600人ほどだったが、現在はその3倍の約2万人が暮らしている。周辺で大型のタワーマンションの開発もあり、子ども連れの若い世帯も増えているのだという。

創成イーストでは2006年以降、マンション建設が急増。当時、居住地として人気だった円山などのエリアで建築物の高さ制限が導入された一方、創成イーストを含む都心部エリアではそれまでよりも大型の建物を建てられるようになったことが背景にある。

【マンション活況 開発はまだ続く!?】

中央区南2条東4丁目。創成イーストエリアの中では南側に位置するこちらのマンション、京阪電鉄不動産が分譲したファインシティ札幌創成イーストだ。

14階建て、2LDKと3LDKの全39戸からなるこのマンション。3000万円台後半~5000万円台という、そう安くはない価格設定なのだが、3LDKを中心にほとんどの部屋が販売後すぐに売れたのだという。

京阪電鉄不動産が創成イーストエリアで分譲マンションを手掛けるのは今回が初めて。札幌駅前、大通、すすきのエリアも徒歩圏で、地下鉄の駅まで徒歩4分、住環境としても抜群の立地だ。単身者からシニア層までと幅広い世代に人気の物件で、もともとこのエリアと関わりが深い人たちが多く購入しているという。

JR札幌駅では新幹線の東側改札口の開発が続く。創成イーストにとっては追い風だ。北海道新幹線が開業するまでの間はもちろん、開業後もエリアの発展は続くとみているようだ。

【高級ホテルにオフィス…変化の兆しも】

創成イーストでは、「ホテルクラビーサッポロ」がことし4月に閉館。跡地には「ホテル創成札幌Mギャラリー」というハイグレードなホテルができる予定だ。

運営するのは、フランスのホテルチェーン、アコー。国内外の富裕層の利用を想定しているという。来年開業する予定だ。

ところ変わって、サッポロファクトリーの駐車場として使われていた場所でも工事が行われている。ファクトリーを運営するサッポロ不動産開発が、オフィスビルを建設中だ。サッポロ不動産開発がオフィスビルを開発するのは、札幌では初めてだという。

名称は創成クロス。人々が交わるという意味合いを込めた。地下1階、地上8階建て延べ1万4000平方メートルで、来年8月の開業予定。1階に商業施設を入れ、3階から上をオフィスとして貸し出す計画だ。

大きな理由のひとつが、2030年度末に開業予定の北海道新幹線の駅の存在。この駅が置かれることで、創成イーストのオフィス需要がこれからさらに高まると見込んでいる。

【大通東1丁目・2丁目では大型の再開発が】

北電の本店ビルとその隣の別館、北海道中央バスの札幌ターミナル、東1丁目劇場施設がある約1.5ヘクタールのエリア。再開発ビルが計画されている。コロナの影響で現在計画はストップしてしまっているのだが、あることをきっかけに動き出すのではないかという期待が高まっている。

昨年度末、札幌市と竹中工務店がそれぞれ持っていた土地を交換。市が再開発エリアの地権者となり、ほかの地権者との協議がこれから進もうとしているのだ。

すぐそばの大通東2丁目で計画されているのが、芸術、文化、歴史、観光をテーマとした複合施設の開発だ。土地は札幌市が所有。ニトリホールディングスがそこに
地上10階、延べ2万7000平方メートルのビルを建てるという。

新たなビルは、地下鉄東西線のコンコースとも接続される見通し。今ある500メートル美術館との連携も期待される。

【地域のつながり…コミュニティーづくりも】

南2条東3丁目にある北海道神宮頓宮。ここで先日、あるイベントが行われた。夏恒例のイベントサッポロシティジャズだ。周辺の人口増加を受け、ことしから初めて創成イーストにも会場が設けられることになった。

会場には手作りのパンやビール、ワインなどを提供するマルシェも設けられた。このマルシェを運営したのが、創成イーストのまちづくりに関わる一般社団法人「さっぽろ下町づくり社」の関係者とボランティアたちだ。

さっぽろ下町づくり社はここ頓宮でこれまでに20回以上マルシェを開催。新たにこのエリアに移り住んできた人たちも多く訪れるようになっているという。

こうしたイベントを通じて期待や課題を聞き取ることで人と人とのつながりが生まれ、コミュティーが形成される。そして、そのつながりが有事の際に大きな力を発揮するのだという。実際、胆振東部地震の時は近隣の住民や、マルシェの運営メンバーが助け合う姿もあったのだという。

住まいにオフィス、宿泊施設…様変わりするマチと、それを支える人たち。今後の“創成イースト”の発展に期待したい。
(2023年7月22日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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