高橋知伽江 脚本作詞 ミュージカル「いつだって青空 ~ブルマー先生の夢~」 新キャストツアー公演中 未来への種を蒔く、青空に希望の光をみる。

舞台は、男性もまだオリンピックに出場していなかった明治の日本。
主人公は、スポーツを通して日本の女性が自信をもって生きられる社会の実現をめざした “日本女子体育の母” 井口阿くり(秋田市出身)で、体操着ブルマーを日本に初めて紹介した人でもある。 この作品は、東京五輪・パラリンピック前々年となった2019年に劇団の本拠地・秋田のわらび劇場にて、 136回のロングラン上演。2022年5月から全国ツア-をスタ-ト。今年7月までの総公演回数は235回を 数えるヒットミュ-ジカル。
2023年は新キャストでまた新たな舞台を。

物語の始まりは明治な格好の女子学生が賑やかに登場。お喋りでわちゃわちゃとするのは今のJKと変わらない。成績優秀な井口 阿くり(久保田 美宥)、アメリカ留学を終えて、東京高等女子師範学校の教授となった。時は明治36年のこと。その少し前、明治33年、津田梅子が「女子英学塾」を東京市麹町区一番町(現:東京都千代田区三番町)の借家に開校、華族平民の別なき女子教育を志向して一般女子の教育を始めたが、そういった時代の空気も感じることができる。

志を高く持ち、生徒たちに厳しくも愛情たっぷりに接する姿、バスケットボールを教えたかと思えば、バレエを教えたり。「白鳥の湖」を観て感激した話を生徒たちに聞かせる、目がキラキラと輝く。そんなおり、生徒の一人、松橋ベニ(瀬川 舞巴)が学校を辞めると言い出す、もちろん阿くりは辞めさせたくない。そこへ彼女の兄の松橋倫太郎(小山 雄大)、保守的な倫太郎、阿くりとは考え方が真逆。バスケットボール対決をするくだりは客席から笑いが起こる。倫太郎のおかしなドリブル(やったことがない、という設定)にかなり手強い阿くりのデフェンス、敵いっこない(笑)、だが、ここで二人は打ち解ける、スポーツの力!

物語はスピーディーに淀むことなく進行、キャッチーで楽しい、多彩なミュージカルナンバーに出演者の歌唱力の高さ、時代は進み、日露戦争へ。もちろんこの戦争の結果は歴史の授業で習っているはず。この戦争の勝利によって「富国強兵」が一般の日本国民に現実として認識させることになる。だが、それでも女性に対しては、古い考え方や習慣が根強く、今でこそ、性別問わず、年齢問わず、スポーツを楽しむようになったが、当時は女性がスポーツをするなど、考えられない時代、倫太郎の考え方が一般的。それに逆らった考えを、思うだけでなく実行する阿くり、彼女の考え方は次第に生徒たちにも浸透していく、阿くりは未来を見据えていた、そういった点においても”新しい”女性であった。ミュージカルなのでお勉強にならず、笑いやユーモアを交えて!

ドーナッツを作るくだり、生徒たちが焦げ臭い匂いを感じて”ヤバそう”と思い、案の定!ここも客席から笑いが起こる、完全無欠に見えて!全くできないこともある阿くり、こういったところは共感(誰だって苦手なものはある!)。彼女にとって悲しいこともあるが、それでも前をむき、未来への種を蒔く。ラストの歌、「いつだって青空」は明るく、希望に満ちた楽曲。上演時間はおよそ1時間30分休憩なし。なお、語り部、ストーリーテラー的立ち位置として進藤孝三(渡辺 哲)という人物が登場するが、1986年に『-日本女子体育の母- 井口あくり女史伝』(温故館)を発表した人物。

「いつだって青空」大合唱 YouTubeで公開中

主演:井口 阿くり役:久保田 美宥 (わらび座)プロフィール

青森県出身。わらび座養成所を卒業後、2019年初舞台。「ジパング青春記」(脚本・演出/横内謙介)、「空!空!!空!!!」(脚本/飯島早苗、演出/栗城宏)などミュージカル作品への出演を重ね、21年、あきた芸術村小劇場ミュージカル「だってあなたの娘ですから」で準主役を務める。「いつだって青空」は22年ツアー1年目で井口阿くりの志を継ぐ松橋ベニ役を公演。今年、主演に抜擢された。近年、数々のミュージカル作品で重要な役どころを演じる期待の女優。

作者メッセージ 高橋知伽江
「日本女子体育の母」と呼ばれる秋田出身の井口阿くりさんは、明治32年に留学し、スウェーデン体操を日 本に広めたスーパーエリート・スポーツウーマン。そして、体操服のブルマーを初めて日本に紹介した人でも あります。阿くりさんが夢見たのは、スポーツの力で皆が生き生きと暮らせる社会。今は女性アスリートの 活躍も珍しくありませんが、120年前には女性が運動するなんて恥ずかしいと思われていました。そんな逆風の中、阿くりさんがスポーツの楽しさを伝えるために奮闘する姿がミュージカルになっています。この舞台に は体操、ダンス、バスケットボールなどのシーンがあり、スポーツの観戦のような<スリル>と、歌とお芝居 の<ときめき>の両方が詰め込まれています。思い切り楽しんでいただけたら、劇場からの帰り道、皆様の 心にきっと青空が広がると思います!

ものがたり
明治36年、3年間のアメリカ留学を終えた阿くりは、東京高等女子師範学校の教授となった。「女子 体育を教える女性の教師」を育成すべく、スウェーデン体操、ダンス、バスケットボール等、当時の日 本ではまだ未知のスポーツを学生たちに教え、世間から注目をあびていた。しかし、女性が運動するこ とへの理解が無い時代。新聞で教育方針をたたかれたり、ブルマー先生と陰口を言われたり、むずかしい立場に立たされる。その頃出会ったのが若き軍人、松橋倫太郎だ。夢を追いかけて走る阿くりと、保守的な家庭に育って夢をあきらめた倫太郎。倫太郎が阿くりの窮地を救い、2人は惹かれあうようにな る。しかし、ロシアとの開戦がじりじりと近づいていた。それは世界の平和を願う祭典であるオリンピックがアメリカで開催される年でもあった。日本のオリンピック参加、そして女子選手の参加を夢見る阿くりにとって訓練が続く。
いつも笑顔を忘れない阿くりだが・・・・・・。

概要
「いつだって青空 ~ブルマー先生の夢~」
脚本・作詞:高橋知伽江 (第23回読売演劇大賞優秀スタッフ賞受賞 劇団四季「アラジン」訳詞)
演出:栗城宏
作曲:飯島優
編曲:沼井雅之
振付:新海絵理子
出演
井口 阿くり役:久保田 美宥
松橋倫太郎:小山 雄大 進藤孝三:渡辺 哲 松橋ベニ:瀬川 舞巴 森園コン:佐藤 千明 楠見ミドリ:小松 詩乃 林田ルリ:黒木 真帆
美術:高橋 知佐
照明:日下 由香
音響:佐藤 亜希子
衣装:市橋 幸恵
小道具:平野 忍
ヘアメイク:馮 啓孝
制作 劇団わらび座

9月の公演予定
9月1日(金) 18:30 青森県青森市 リンクモア平安閣市民ホール
9月3日(日) 14:30 福島県三春町 三春文化交流館まほら
9月9日(土) 13:30 静岡県浜松市天竜区 浜松市天竜壬生ホール
9月23日(土) 14:30 静岡県浜松市中区 浜松市福祉交流センター

公式サイト:https://www.warabi.jp

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