塩野瑛久、毎熊克哉、凰稀かなめ、矢部太郎、本多力、信川清順、上地雄輔、財前直見が「光る君へ」に出演決定

吉高由里子が主演を務め、2024年に放送されるNHK大河ドラマ第63作「光る君へ」(日時未定)に、塩野瑛久、毎熊克哉、凰稀かなめ、矢部太郎、本多力、信川清順、上地雄輔、財前直見が出演することが発表された。

「光る君へ」は、貴族文化が花開いた平安時代を舞台に、世界最古の女性文学と言われる「源氏物語」を生み出した紫式部(まひろ/吉高)の人生を描くもの。脚本は、同局の大河ドラマ「功名が辻」や連続テレビ小説「ふたりっ子」、「セカンドバージン」など、数多くのヒット作を手掛けてきた大石静氏が担当する。

塩野が演じるのは、66代天皇の一条天皇。藤原道長(柄本佑)のおいで、幼くして即位。入内した藤原道隆(井浦新)の長女・定子(高畑充希)を寵愛するが、後に道長の長女・彰子も入内し、世継ぎをめぐる政争に巻き込まれる。

オーディションを経て、出演が決まった塩野は「過去何度もオーディションというものを受けてきましたが、満足いく結果が得られたことは少なく、自分の実力不足に幾度も落胆してきました。大河ドラマというさまざまな年代の方に愛される作品に携わることができ、やっと俳優として祖父や祖母に顔向けできる。そう思っております。自分で言うものではないと思いますが、知名度的にも抜てきいただいたと言わざるを得ません。誠意をもって向き合い、地に足つけて挑みたいと思います」と強い決意を持って作品に臨む。

演じる一条天皇については、「紫式部や清少納言、そして、安倍晴明。誰もが知る人物たちが活躍した時代を築いた帝の1人でありながら、人間くささが見え隠れする魅力的な人物なのだと思わされました。真面目で思慮深く、それでいて愛情深い。そんな一条天皇を演じられることが本当に、本当にうれしいです。定子への思いや彰子との関係性の一つ一つを取りこぼさぬよう大切に生きたいと思います」と役柄への思いを語っている。

毎熊が務めるのは、町辻で風刺劇を披露する散楽の一員・直秀。その自由な言動に、まひろと道長は影響を受ける一方で、本性の分からない謎めいた男でもある。

「直秀とその仲間たちは、この時代のヒエラルキーの最下層から世の中を俯瞰(ふかん)でよく見ていて、明日の命も知れぬ身でありながら、笑って強く生きていこうとする胆力がある。彼らの身分であれば関わるはずもないまひろと道長に出会い、直秀は2人の手助けをするようになります。なぜ手助けをするのか?というのが直秀の面白いところで、ぶっきらぼうな言葉と優しい行動がミステリアス」と演じる役柄を紹介し、「直秀はどのような生き方を望んでいるのか?を探ることが、演じる上での鍵になってくると思っています」と役づくりへのポイントにも触れる。

京都の印象や思い出に関しては「現代劇ですが、BSプレミアム『京都人の密かな愉しみ』という作品で、約5年間にわたって京都に住む若者を演じました。僕にとっては第2の故郷のように思える場所で、思い入れがあります。今回は時代が違うので、また知らない京都を知る楽しみが増えました」と思い出の土地での撮影への期待を述べた。

また、凰稀が担うのは、女流歌人の赤染衛門。道長の妻・倫子の女房であり、さらに一条天皇の中宮となる娘の彰子にも仕えた。姫たちに学問を指南するうちに、文学好きなまひろとも交流することになる。

「大河ドラマ『光る君へ』のオファーをいただいたことに、うれしい気持ちより、驚きが大きかったです」と心境を明かす凰稀は、「紫式部、清少納言、和泉式部は知っていましたが、赤染衛門という歌人を知らず、いろいろ調べました。資料は少ないですが、赤染衛門は良妻賢母で、賢い女性というイメージが多いのですが、歌の内容を見るととても色気のある女性を連想させます。そんな二つの顔を持つ女性を、大石静先生がどう描いてくださるのかとても楽しみで、そして、監督がつくり上げる赤染衛門という歌人の存在をたくさんの方に知っていただきたく思っています」と役柄への思いを巡らせる。

そして、「1000年前の華やかな平安時代、人々がどんな生活をされていたのか? 何より衣装が華やかなのが楽しみです。セリフは京都弁?のイントネーションなのか?も気になりますが、和歌の意味など、いろいろと勉強になりそうで皆さんと一緒に平安時代を学びたいと思います」と寺院巡りが好きで、よく足を運ぶという京都での撮影を楽しみにしている。

まひろの従者でまひろに振り回されながらも付き従っている乙丸役を矢部、道長の従者で道長が少年の頃から忠実に仕えている百舌彦役を本多が担当。

矢部は「不器用でどこか頼りない従者ですが、お仕えする家の状況が厳しく、皆が離れていく中でも仕え続ける乙丸には忠義とまひろ様のことを思う心が感じられます。体を張って守ったり、守れてなかったりもしますが…」と言いつつ、「顔合わせの時に、スタッフの皆さんがとてもたくさんいらして、こんなにもたくさんの人間がこの作品を作るのか!と、とてもワクワクしました。その1人として喜びを感じながら、当時の身分の高くない女性の従者の人間を演じることで、感じることや、伝えられることがあったならと思います」と抱負を述べる。

これまでの大河ドラマには、本作と同じ京都を舞台した「新選組!」に、体調が悪く途中で故郷に帰る隊士・阿比留鋭三郎役で出演。「当時、脚本の三谷幸喜さんが、今までの新選組を描いた作品の中では描かれたことのない人物だと話されていました。実際、阿比留鋭三郎のwikiには演じた俳優は僕しか載っていなくて、光栄です。病人の役だったのでセリフより咳の回数の方が多かった記憶があります」と振り返っている。

本多は「僕が演じる百舌彦は、藤原道長の昔からの従者という役なのですが、初め台本を読んだ時、もしかしたら百舌彦は道長にしか見えてないんじゃないか? 道長の守護霊的な存在?とも思えたのですが、実際はそんなことは全くなく、ちゃんと人間でした。でもそれくらい道長にとって身近な存在だと思いますし、ほかの登場人物との関係性とは少し違うものだと思っています」と分析し、「ですので、道長への愛情をほかの方の道長への愛情とは違う形でお届けできたらと思っております。現場では柄本さんのことを、とにかく凝視してようと思います」と道長を演じる柄本との距離も詰めていきたいと意欲満々。

物語の舞台となる京都出身の本多は、「36歳くらいまで住んでいました。ですからもちろん、青春時代も京都で過ごしました。有名な話ですが、鴨川はカップルが等間隔に座っている恋人たちの憩いの場です。自分も初めて恋人ができた時は一目散に等間隔に加わりに行きました。平安時代にも鴨川はあったでしょうし、等間隔だったかは分からないですが恋人たちもいたでしょう。そんなふうに京都の街の中をかつて紫式部や藤原道長が生きていたと想像すると、生まれ育った京都がまた違う見え方をして新鮮です」と話している。

さらに、紫式部の弟・惟規(高杉真宙)の乳母で、惟規を溺愛し、行く末に気をもみながら仕えているいと役を信川が演じ、道長の異腹の兄で、知性豊かな母を持つが、本人は一向に才に恵まれず、父・兼家(段田安則)からは、嫡妻の息子たちより格段に軽く扱われている藤原道綱役を上地が務める。

信川は「姫様、若様が本当にかわいくてかわいくて、成長し裳(も)を着けられたシーンでは色鮮やかな衣装に身を包むまひろ様が奇麗で、ドラマをご覧になった皆さんも絶対着たくなるぞ!と心躍りました。乳母としてわが子同然に、しっかり者の姫様、頼りない若様の行く末を温かく見守っていければと思います」と吉高&高杉の扮装姿に期待を持たせるコメント。

およそ1000年前の華やかな京都を舞台に演じる楽しみについては、「まひろ様をはじめ女性の着物の鮮やかさ、そして男性の着物のりりしさに心をわしづかみされます。惟規様の着物姿が本当にかわいいので見ていただきたいです! 乳母目線です! 身長ほどあるのではないかという女性の垂髪。黒髪ロングがこの時代の美人の条件ということで、この時代でもカツラやウィッグを付け足していたとのことで、びっくりです。豊かでない生活の中でも藤原為時様のお屋敷には水が流れていたり、装飾の一つ一つに風情がうかがえたりするのも平安時代の胸キュンポイントではないでしょうか。およそ1000年前、美意識が高かったこの平安時代に、男性とは別のアプローチで女性も頭角を現し、紫式部という才人が現代にも伝わる『源氏物語』を書いたことに衝撃と感動があふれます」と止まらない思いを感じさせた。

上地は「時代劇は自分が大好きな分野の一つなのでとても楽しみです。道綱はただの“みにくいアヒルの子”ではなく、しっかりと母親からの愛情を受けていたと思います。そういったところからもヒントを得て、見てくださる方に道綱目線でも楽しんでいただきたいです。道綱がこの家族の中の一つのアクセントやスパイスになるといいなという思いを込めて、濃く、そしてどこかキュートで愛される人間を監督やスタッフの皆さまと話し合いながらつくり上げていきたいと思います」とコメント。

大河ドラマには、2009年の「天地人」に出演。当時を振り返り、「同世代の役者仲間や先輩方に向き合って絡むシーンがすごく楽しみで、さらには『見てろよ!』というワクワクメラメラした部分もありました。感情を爆発させる重い、大事なシーンもあり、いつもそこから逆算する芝居や役づくりをしていた」という上地は、「今回は道綱がどういう人間になってどのように変わっていくのかということも含めて、僕自身も役を作りながら肉付けして道綱の中で成長していけたらと思っています。あれから15年近く経ち、自分も若手ではなくなりましたが、その中でもワクワクメラメラしたものは忘れずに取り組んでいきたいと思います。あの頃の小早川秀秋と似ている部分が役柄的にあるんですが、これまでの時代劇での経験を生かしながらまた違った人間くささみたいなものを盛り込めたら」と道綱役を通して、さらに俳優として成長するべくどん欲な姿勢で作品に臨む。

そして、財前は、兼家の妾(めかけ)で一人息子の道綱を溺愛している藤原寧子役に扮(ふん)する。和歌に長けており、兼家との日々を「蜻蛉日記」として残した才色兼備の女性だ。

財前は「道綱の母・寧子は『蜻蛉日記』の作者。一夫多妻制の時代、兼家との通い婚の約20年間を、道綱への愛と兼家との不安定な結婚生活で過ごしました。嫉妬と苦悩で“かげろう”のようにはかない身の上を、寂しくも激しく愛を求め、兼家と会えた時はほんわか、甘くやさしい空気感が出せるように演じたいです」と役柄と役づくりに言及し、「十二単の衣装の華やかで美しい世界観、そして和歌の世界観を見られるのは楽しみです」と京都での撮影を心待ちにしている。

なお、作品の時代考証は、歴史学者の倉本一宏氏が担当。「平安貴族を主人公にしたはじめての大河ドラマなので、責任の重さを実感しています。とはいえ、ドラマのストーリーは脚本家の大石さんのオリジナルですし、ドラマ自体はプロデューサーの内田さんをはじめとする制作スタッフの努力の成果です。私の役割は、政治的背景や後宮情勢など、このドラマと実際の歴史との間のギャップを埋めて、いかにもあの時代らしい雰囲気をつくることです。微力ながら力を尽くしていきたいと思います」と語っている。

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