緒方が泣き崩れた。ハイレベルな攻防の勝敗を分かつ大きなワンプレー。3連覇をつかみかけていた横浜にとっては、あまりに酷な判定だ。
2点リードの九回無死一塁。慶応・丸田のゴロを二塁峯がさばき、二塁へ送球。遊撃緒方は「いつも通りの形で入った」と併殺プレーを狙った。
捕球とともに右足でベースを蹴り、土ぼこりが舞う中、一塁へ送球したように見えた。しかし、判定は緒方の今大会初失策。横浜側が抗議するも、審判団が集まることはなく「(足がベースから)離れている」と告げられたという。その直後、まさかの3点本塁打でひっくり返された。
六回に勝ち越して完全に主導権を握っていただけに村田浩明監督(37)も動揺を隠せない。「生きるか死ぬかの試合。あれをセーフと言われたら一生懸命やっている高校生はどうなのか。野球人生の中で一番大きかったプレー」。緒方は「何とも言えない。悔しい」と複雑な胸中を口にした。