「BASTARD!! ―暗黒の破壊神―」ヨシュア役・寺島拓篤インタビュー「いちオタクとして作品の面白さをあらためて実感できました」

1988年に「週刊少年ジャンプ」で連載が始まり、今なお人気を博す萩原一至による漫画「BASTARD!! ―暗黒の破壊神―」。そのアニメの第2期「地獄の鎮魂歌編」がNetflixで本日7月31日より配信がスタート。

大神官の娘であるティア・ノート・ヨーコ(声・楠木ともり)と共にきょうだいのように育てられたルーシェ(声・伊藤かな恵)には、かつて世界を征服しようとした邪悪な魔法使いダーク・シュナイダー(声・谷山紀章)が封印されていた。15年後、破壊神アンスラサクス(声・小山茉美)の復活をもくろむ闇の反逆軍によって、2人が住むメタ=リカーナ王国は陥落の危機に。そんな中、ヨーコによりダーク・シュナイダーの封印が解かれる。

圧倒的な魔力によって次々と敵を退けていったダーク・シュナイダーは、反逆軍団・四天王ニンジャマスターのガラ(声・安元洋貴)とアーシェス・ネイ(声・日笠陽子)を仲間に加えたが、反逆軍団・四天王の1人、アビゲイル(声・杉田智和)と壮絶な戦いを繰り広げた末、メタ=リカーナ王国は崩落。仲間たちは大爆発で全員が行方不明になってしまった。

そこから2年後。四天王の1人、カル=ス(声・小野賢章)が十二魔戦将軍を率いて、破壊神復活の最後の鍵を握る王女シーラ(声・東山奈央)を捜し求めていた。それに反発するためア=イアン=メイデ王国の残党であるヨシュア(声・寺島拓篤)をはじめとする侍たちは反乱軍を結成し、各地で衝突を繰り広げていた。そして反乱軍の中には、2年前の大戦で行方不明になったヨーコの姿があった。

ここでは、サムライマスターとして皆を率いて十二魔戦将軍と戦うヨシュアを演じた寺島拓篤さんに、収録中のエピソードや感想をお聞きしました。

――第2期が決まった時の感想を教えてください。

「役をいただいた以上は、たくさん演じたいなと思っていました。第1期の頃に原作をチェックさせていただいた時は、このシーンはどう演じようと自分の中でイメージが膨らんでいくばかりだったので、そのイメージに絵を当てて演じることができるというのがとてもうれしかったです。『BASTARD!!』の連載開始当時は子どもだったので見ておらず、大人になってからしっかり作品を把握しました。世代的にも常に話題の作品ではあったので、当時見ていなかった序盤の方の物語をあらためて知って、演じることができたのもうれしかったです。あらためて原作に触れて、萩原先生の絵柄が連載当時より進化していてすごいなと、いちオタクとして作品の面白さをあらためて実感できました」

――35年前から連載している作品でしたが、最近のほかの作品と違う部分はありましたか?

「アニメ制作現場はクオリティーも高く、今のアニメ技術での魔法のエフェクトの格好よさがあり、『BASTARD!!』のアニメに時代を感じることはないです。萩原先生の作品の作り方やダーク・シュナイダーのメタい感じのセリフは時代ならではだなとは思いますが、35年前から続いている作品だなというような印象にはならなかったです」

――印象に残っているシーンを教えてください。

「漫画では分からなかった、魔法を使った時の空気の振動や光の激しさはアニメになって初めて感じたので、ダーク・シュナイダーがどれだけすごい魔法使いかっていうのをあらためて実感。女性キャラももちろんのこと、男性キャラも皆の肉体の描き方にこだわりを感じて、『これがBASTARD!!だよな』という印象です」

――ヨシュアを演じた印象はどうですか?

「役割や名称も、この世界における侍と僕たちが思い描く侍のイメージと一緒で、『一本芯が通っていて、義に厚い』侍というイメージ通りで、この作品における立ち位置がほかの勢力の人たちと違うなと。武家屋敷にいる侍たちは皆同じだと思うんですけど、第2期の切り替わりで出てくる人たちは作品を変えるいい役割だなという印象を受けました。進んでいくうちにカイ・ハーンに対する思いなども見えてきて、ファンタジーの世界なんだけれども、現実世界との共通項を感じて親近感を覚えました」

――ヨシュアを演じる上で気を付けたことを教えてください。

「意志のブレなさを声の張りで出せればいいなと思って演じていました。声で表現しなきゃいけないものの、どうやったらヨシュアの侍っぽさができるかなと。僕の声でヨシュアを表現すると考えた時に、きちんと声を張ろうと考えました。侍マスターとして周りを率いて先陣を切って強敵と戦う強さがあり、大きい声を出すシーンでも、普通に会話をしているシーンでも、言葉がはっきり聞こえるように意識する半面、人の良さも表現できるよう、硬さと柔らかさを音としてしっかり表現できるよう演じました」

――収録中の様子はどんな感じなのでしょうか?

「コロナ禍の分散収録で人数制限が最大4人での収録が多く、ヴァイ役の坂泰斗くんとシェン役の木島隆一さん、カイ役の伊藤静さんとの収録が多かったです。時々ダーク・シュナイダー役の谷山紀章さんと一緒になりましたが、ダーク・シュナイダーだけぶっ飛んだ役なので、お芝居を見るのが楽しくて一緒に収録できるのを楽しみにしていました。ヴァイも侍たちの中では若いキャラクターなので、高めのテンションで楽しそうに演じているのを見ながら、ヨシュアとして自分はしっかりするぞと思って演じていました。静さんとはほかの作品で一緒になることが多く、ご縁があるなと思いながら演じさせていただける楽しい収録現場でした。内容的にもダーク・シュナイダーにみんなで突っ込みを入れる面白いシーンもありながらもシリアスなシーンも多く、メリハリがついてやりがいのある収録でした」

――ダーク・シュナイダー役の谷山紀章さんの印象はどうでしたか?

「ミュージシャンでもあるので見た目はロックな方ですが、優しいいい人という印象です。ほかの作品でも一緒にやらせていただいていることもあり、あまり壁も感じませんし、楽しく接してくださるいい先輩だなという印象が強いです」

――完成した映像を見た感想を教えてください。

「連載当時から話題になっていた萩原先生の画力と漫画の緻密さをすごいクオリティーで再現してきたなと感じました。初期の絵柄から終盤までの絵柄の違いをどうやってアニメ化するんだろうとずっと疑問に感じていましたが、今回こんなになるんだと衝撃を受けました。キャラクターデザインは初期と終盤のいいあんばいのところで作られていて、アニメチームのすごさを感じています」

――好きなキャラクターや気になるキャラクターはいますか。

「本当に個性的なキャラクターばかりですが、萩原先生のヨーコのキャラクター作りがとても大胆で、メインヒロインなのにボクっ娘で、少女なのにセクシーでかつ伸びしろもあって、振り回されながらも突っ込み役もちゃんとしていて、ボクっ娘好きの僕としては、ヨーコさんはすごいキャラクターだなと思いながら見ていました。肉体的にも精神的にもストーリーが進むにつれてまだまだ成長して、魅力がぐっと増していくのがいいキャラクターだと感じています。作中でも登場人物のみんながあまりにも『ヨーコ、ヨーコ』と頼るので、どんだけすごいんだと感じています」

――作中、世界征服して自分の世界を作るというキャラクターが大勢いましたが、もし自分の国が作れるとしたらどんな国にしますか?

「とにかく市民に優しく、自分のプライベートでも子育てをしているので、そういった一般の方たちのより良い暮らしができる国を作れたらと思います」

――第2期の見どころを教えてください。

「物語におけるバトルの規模がどんどん大きくなっていき、過去に伝承として出てくるアンスラサクスだけでなく、今、頑張っているダーク・シュナイダーたちの前に復活して、実際にやりとりするアンスラサクスの怖さは見どころの一つだと思います。小山茉美さんが威圧感があるお芝居をすると思っていたら軽い感じの演技をしていて、主人公たちを余裕だと思っている雰囲気に恐怖を感じてしまいました」

――最後に視聴者の皆さんへ一言お願いします。

「第2期になって、物語が進んで世界の真理が分かってきて、バトルもどんどん激しくなってますます面白くなっていきます。これに備えて、あらためて第1期から通して見ていただけたら面白さのインフレが伝わるんじゃないかと思います。どんどん盛り上がっていきますので、『BASTARD!!』を引き続き楽しんでください」

――ありがとうございました。

【プロフィール】

寺島拓篤(てらしま たくま)
12月20日、石川県生まれ。代表作は「EDENS ZERO」(日本テレビ系)、「ログ・ホライズン」(NHK Eテレ)、「魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~」(TOKYO MXほか)、「贄姫と獣の王」(TOKYO MXほか)、「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズ、「アイドルマスターSideM」など。

【番組情報】

アニメ「BASTARD!! ―暗黒の破壊神― 地獄の鎮魂歌編」
Netflix
7月31日配信スタート
原作:「BASTARD!!暗黒の破壊神」萩原一至(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:尾崎隆晴
シリーズ構成:黒田洋介
キャラクターデザイン:小野早香
クリーチャーデザイン:須永賴太
エフェクト設計:山田起生
美術監督:井上一宏(草薙)
美術設定:バーンストーム・デザインラボ
色彩設計:篠原愛子
特効監修:谷口久美子
特殊効果:荒畑歩美(チーム・タニグチ)
3DCGI:Felix Film
撮影監督:髙津純平
編集:⻑谷川舞(editz)
音響監督:えびなやすのり
音楽:高梨康治(Team-MAX)
プロデュース:Warner Bros. Japan
アニメーション制作:ライデンフィル

取材・文/S・A(NHK担当) 撮影/蓮尾美智子

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