アプローチの悩みを解決する「グリップエンドの魔法」

アプローチのミスに悩む受講者のスイングを徹底分析

短い距離のアプローチでトップしたりダフったりといったミスから、なかなか抜け出せない方は多いはずです。そのような方は総じてショットにおいてもミート率が低い傾向にあります。今回はアプローチに悩む受講者に登場していただき、アプローチ改善の基本から、ショット全体のミート率アップにつながるポイントをお教えします。

今回の受講者は…

「練習場では真っすぐ打てるのに、コースではドライバーのスライスが多くて悩んでいます。また、50yd以下のアプローチが苦手で、ダフリやトップといったミスが目立ちます…。顔が早く上がらないよう気をつけ、体を開かないことも意識していますが、根本的な原因を知りたいです」(松谷さん ゴルフ歴10年、平均スコア100前後)

スイング解析でアプローチのミスが出る原因を究明

シャフト解析ではタメ(アンコック角)が深くリリースのタイミングも良好

ドライバーの計測では、確かにコースで出るようなスライスはありませんでした。ストレートボールで、飛距離も250yd近く飛んでいます。ミスショットはスライスではなく、むしろ左に巻くような球が見られました。シャフト解析でもアマチュアの平均よりもタメが深いので、きちんと球にミートできれば効率よく飛距離が出せそうです。問題は、そのミート率ですね。

ヘッド軌道をデータ化するとインサイドアウト&アッパーの度合いが大きい

気になるのはインパクトの瞬間のヘッド軌道。7度のインサイドアウト、6度のアッパー軌道で、インサイドアウト&アッパーの度合いが強め。当然、アイアンショットもその傾向があり、アプローチもまたしかり。特にアプローチでは、すくい上げる癖があるとミスが顕著になります。まずはアプローチから改善していけば、アイアンからドライバーまで、ショットが全体的に良くなりますよ。

受講者(左)のハーフウェイダウンは、辻梨恵プロ(右)と比較して胸の回転が不十分

モーションキャプチャーによる分析で、インサイドアウト&アッパー傾向になる原因を深掘りしてみましょう。プロと比較した体の動きは、全体的にかなり良い結果が出ています。しかし、一つだけ目につくのは胸の回転量が少ないこと。プロはハーフウェイダウン時点で胸がすでに10度くらい目標方向に開いていて、インパクトでは40度くらいまで開きます。一方、松谷さんの場合はハーフウェイダウンで15度クローズ、インパクトでもまだ胸が正面を向いています。

“グリップエンドの向き”がアプローチ改善のポイント

辻梨恵プロ(右)と受講者(左)ではインパクト直前のグリップエンドの向きが違う

今回のレッスンのポイントは、胸の回転量が足りないからといってそこを意識するわけではないということです。意識すべきは、ダウンスイング時のグリップエンドの向き。インパクト直前のグリップエンドの向きを、プロと比較してみましょう。プロはグリップエンドがターゲット方向よりも左を向いているのに対して、松谷さんのグリップエンドはターゲットより右方向を向いています。この状態のまま胸を回そうとすれば、シャンクに悩まされることになってしまいます。

グリップエンドを左足太ももに突き刺すイメージでダウンスイング

まずは、小さいスイングのアプローチから、グリップエンドの向きを整えていきましょう。インパクトに向かって、グリップエンドを左足の太ももに突き刺していく意識です。そうすることでアプローチでしっかりとボールにコンタクトできるようになり、大きなミスが激減します。アプローチでこの動きを覚えたら振り幅を大きくしていき、さらに番手を上げて練習しましょう。アイアンからドライバーまで、ショット全体においてミート率が上がっていくはずです。

グリップエンドの向きを意識しながら左手1本スイング

グリップエンドの向きを整えるもうひとつのドリルは、左手1本でのショットです。ただし、球をつかまえようとして左手首を甲側に折らないように注意しましょう。左手1本でも先ほどと同じように、インパクトに向かって左足太ももにグリップエンドを突き刺すような意識で練習してください。実は、グリップエンドの意識だけでも、腕の動きにつられて自然と胸の回転量が増してくるのです。

それでは、今回のレッスンを動画でおさらいしましょう。

動画:アプローチミスを減らすグリップエンドの意識【サイエンスフィット】動画はオリジナルサイトでご覧ください

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