馬場氏発言は民主政治の基盤を掘り崩しかねない

 朝日新聞が2日の社説で日本維新の会の馬場伸幸代表がネット番組で語った「共産党は日本からなくなったらいい政党」などとした発言を取り上げ「思想信条や立場、掲げる政策が異なるとしても、同じ国民の代表として、互いの存在を認め合ったうえで議論を戦わせる。それが、民主主義の基本であろう。強い言葉で相手を否定する言説は、多様な価値観と利害を前提に、話し合いで合意形成をめざす民主政治の基盤を掘り崩しかねない」と苦言を呈した。

 馬場氏は発言の取り消しも行っていない。弊社も公党の代表として他の公党を「日本からなくなったらいい政党」などとするのは民主主義を理解していない姿勢で、改めるよう求める声が多いことを伝え、7月30日付けコラムで21年10月の衆院選(比例代表)で日本共産党への投票が416万6076票ある中で、公安調査庁が未だに破防法の対象にしていることに違和感があり、見直す時期だと問題提起した。

 朝日新聞は2日の社説で「昨年の参院選の比例区で共産党は361万票と6・8%の得票を得ている。馬場氏の発言は、党だけでなく、投票した有権者をも否定するに等しい」と指摘。そのうえで「政府がいまだに、(公安の)調査団体に指定していることは事実だが、共産党は『議会の多数を得て社会変革を進める』と、繰り返し公にしている」とし、馬場氏の発言が「投票した有権者をも否定するに等しい」と断じた。

 発言撤回がない馬場氏の姿勢は反共、右派、保守層の支持を得るための発言かもしれないが、公党代表として、他の公党を完全否定するのは、やはり民主主義の基本を理解していないといわれよう。

 朝日新聞は「国会議員は憲法で『全国民の代表』と定められており、自らの支持者だけでなく、他党に投票した国民の声にも耳を傾ける責務がある。維新が野党第1党、さらには政権をめざすというなら、なおさら幅広い民意に向き合う姿勢が求められる」と促した。(編集担当:森高龍二)

© 株式会社エコノミックニュース