売り上げ100億円超え!?札幌の作業服「プロノ」ヒットの背景

今週特集するのは、作業服専門店「プロノ」を運営するハミューレ。売り上げを右肩上がりで伸ばしていて、今期はついに100億円に達する見込みだという。その売れる極意に迫る。

【充実した商品群 客は“プロ”だけじゃない!?】

ハミューレが展開する作業服・作業用品の専門店プロノ。現在、姉妹店をあわせると、北海道内外に54店舗ある。店内には作業着に靴、手袋など約2000商品が並ぶ。

プロノはもともと主に建設作業用の衣類や用具を販売する“業者向け”の店だったが、今では4割が“プロ”ではなく一般の客。防水・防風・消臭・軽量など作業着であるがゆえの機能性が、日常の様々なシーンにも便利で役に立つと人気を呼んだ。

なんと手袋だけで200種類以上をそろえる。作業用はもちろん、スポーツ用としても人気があるという。

注目すべきは、売れ筋商品の多くが自社のオリジナル商品という点だ。

【開発の裏側は… カギ握る“客の声”】

オリジナル商品の開発現場を訪ねた。行われていたのは、この冬から来春に向けたダウンや靴の新作会議。

冬の商品には、ハミューレ最大のヒット商品「ストレッチダウンパーカー」がある。2020年の発売以来、累計1万7000着を売り上げたこのダウン。北海道の冬でも暖かく動きやすいアウターを…と開発したところ、その機能性と価格の手ごろさから大ヒット。作業着としてはもちろん、冬の防寒着として幅広く人気を集めた。以降、デザイン性や機能性を毎年アップデートし、今や冬の看板商品となった。

ヒットした商品にはほかにも。UVカットの機能性に加え、ガーゼのサラサラとした着心地や風通しの良さ。ダブルガーゼシリーズは農業に携わる女性から圧倒的な支持を集めているという。

ヒットのタネは「お客さんの声」。商品開発には部員のリサーチのほかに、全ての店舗からお客さんの声を収集。新商品を開発する上で重要なポイントとなっている。

たとえば、プロノが開業した20年ほど前、働く女性は徐々に増えていたが、作業用品店で買い物をする女性は少なかった。実際に女性たちの声を集めてみると、届いたのは「そのまま買い物に行けるようなデザインの作業着が欲しい」という農家の女性からの声。プロノは創成期からこうした声を拾い、ファッション性の高いオリジナル商品を開発してきた。

結果、女性客が徐々に増え、今では働く女性に限らず機能性を求める全ての女性が顧客となった。ハミューレでは衣料品から靴、手袋まで、年間30種類ほどのオリジナル商品を生み出している。

【一般向けにも訴求 チラシ「てまひま」】

プロ向けの「プロノ」が一般客にも認知されたきっかけは、チラシ「てまひま」。社内にはてまひまをプロデュースする専門部隊がいる。

会議はさながら、ファッション誌の編集のよう。

ハミューレ独自の広報媒体「てまひま」は春夏冬と増刊号をあわせて年間8回発行する。掲載する商品選びから、写真の撮り方、紙面の配置など綿密な計画を練る。制作にかかる期間はなんと1年だ。プロノで扱う商品はプロ仕様ではあるものの、日常でも活躍する商品がほとんど。しかし、一般の人は「知らないから、買いに来ない」。

そこで、20年前、主婦をターゲットに「てまひま」を創刊。新聞の折り込みチラシを通じて、作業用品を一般向けに紹介した。目を引くキャッチ―なコピーも、社員総出で考える。武居社長もアイディアを提供しているとか。

就任時20億円だった売り上げを約100億円にまで伸ばした武居社長。

将来の目標について尋ねると、「就任時から全国展開には1000億円の売り上げが必要だと考えていた。現在業界トップは1000億円をゆうに超えている。ここを達成したい」と話した。

機能性の追求と、客のニーズをつかむ取り組み。今後の展開にも注目したい。
(2023年8月5日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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