【MLB】デッドライン最大の勝者? マーリンズの効果的なトレード補強

写真:ホワイトソックスから獲得したバーガー

トレードデッドラインを終え、いよいよプレーオフ争いは佳境に差し掛かる。デッドラインを終えた中で、最も効果的な補強に成功したと言われているのがナリーグ東地区で3位のマーリンズだ。2020年に拡大プレーオフに出場して以来、プレーオフからは遠ざかっているが、今年はデッドラインでの補強にも助けられ、十分にプレーオフ進出の可能性がある。

GMのキム・アングはデッドラインでは精力的に動き、実に5選手を獲得。一連のトレードは効果的だった上に、将来を見据えても合理的だったと高い評価を受けている。

特に課題のコーナーポジションの打力を改善させた一連のトレードでは、アングGMの手練手管が光った。

まずはホワイトソックスから今季25本塁打のジェイク・バーガー三塁手をトレードで獲得。このトレードでマーリンズが失ったのはAAでプレーする左腕の有望株ジェイク・イーダーのみだった。マーリンズからすれば、現状の若く優秀なローテーションに阻まれて将来的構想からはあぶれる存在のイーダーで、残り5年以上の保有期間を残すバーガーの獲得に成功することとなった。

さらにガーディアンズからは、ジーン・セグラ内野手と2021年ドラフト1巡目指名のカリル・ワトソンを放出して、一塁手のジョシュ・ベルを獲得している。2年3300万ドルで加入したものの今季は低調、さらに来年も1650万ドルという多額のプレイヤーオプションを残すベルを放出したかったガーディアンズと、一塁手のアップグレードが必要だったマーリンズとのニーズが合致した形だ。

マーリンズは同じく2年間で1700万ドルの契約で加入したものの不振で、バーガー獲得でポジションを失ったセグラを金銭の調整のために放出し、さらにドラ1ながら素行不良もあって評価を落としていたカリル・ワトソンも見返りに差し出している。ベルは今季不振とはいえ、実際の成績と比べて打球の内容が良く、復活の可能性は十分秘めている。

そして、ベルの獲得で浮いた一塁からは、今季限りでFAのギャレット・クーパーをパドレスにトレードし、ライアン・ウェザースを獲得している。ウェザースは伸び悩み中ながらもかつては2018年ドラフト全体8位で指名された好素材だ。かつて伸び悩み中の有望株としてマーリンズに加入したヘスス・ルザードが開花したように、マーリンズの投手育成力でウェザースも開花を遂げるかもしれない。

売り手市場といわれ、買い手が大きな対価を支払うトレードも多かった中、最小限の出血で補強に成功したマーリンズ。今季はやや低調だったエースのアルカンタラも復調してきており、プレーオフ進出は決して夢ではないところまできている。

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