居酒屋はたくさんありますが、朝までやっている居酒屋はめずらしいですよね。
そんな居酒屋が倉敷にありました。
その居酒屋の名前は文字どおり「朝まで屋」。
朝まで屋の新店舗「朝まで屋テラス102」が水島に移転オープンしたので、お邪魔してきました。
朝まで屋テラス102では「時間」「空間」「会話」の3つを提供しています。
この記事では「朝まで屋テラス102」の魅力を紹介していきます。
朝まで屋テラス102とは?
朝まで屋テラス102は、水島臨海鉄道 栄駅から徒歩約7分のところにあります。
実は第一号店の連島店が2023年6月25日に閉店し、6月30日に水島に移転オープンしました。
屋台風だった以前のお店とは変わり、店内はまるでカフェのようです。
客層もお一人様から家族連れまでさまざまなかたがいました。
外にはテラス席も設けてあり、開放的な雰囲気となっています。
一方、塀で囲まれていることによってプライバシーも守られていました。
会話が生まれるためのテラス席
外のテラス席ではグループ利用でBBQがおこなえるそうです。
店内の窓はフルフラットで開くので、店内とテラス席を自由に行き来できます。
「朝まで屋」を運営している「有限会社心太」の社長 藤井さんによると、ホテルのBBQは焼肉と変わらないと思ったとのこと。
自由に席を動くことにより会話が生まれることこそ、本当のBBQだと藤井さんは考えたそうです。
▼ビニール袋に隠れていますが、BBQグリルが用意されていました。
これでお客自身が肉を焼いてBBQをするようです。
肉以外の料理に関しては、店内に一品料理が並びビュッフェ形式でとれるように予定をしているとのことでした。
豊富なメニューの数々
メニューを見てみるとドリンク、おつまみ、ごはんものなどが充実しておりメニュー数の多さに驚きです。
メニューのなかには、居酒屋には珍しいスープカレーがありました。
このスープカレーは、「あちテラス102Soup Curry Dining」で提供されているスープカレーと同じものです。
本格的なスープカレーと関西風のお好み焼き
筆者はスープカレーを食べました。
スープカレーのお店で提供されているものと同じだけあって、本格的です。
スープを飲むと、口の中に濃厚なスパイスが広がります。
野菜は素揚げと炒めたものがあり、それぞれの食材が生かされており、美味しいです。
スープの中にあるチキンはじっくり調理されており、スプーンで簡単に身をほぐせるほど柔らかい。
このスープカレーは、社長の藤井さんが考案したもののようです。
▼スープカレーの他にお好み焼き(ぶた玉)を頂きました。
このお好み焼きは関西風でしたが、まったく粉っぽさはなく食べやすかったです。
どうやら、粉っぽくならないように配合を工夫されているとのこと。
お好み焼きの中にある野菜は、食感がシャキシャキしていて美味しいです。
これはお酒がほしくなりますね。
以前の朝まで屋の店舗とは違った雰囲気の「朝まで屋テラス102」。
男性はもちろん、女性や家族連れまでさまざまなかたが楽しめます。
そんな朝まで屋テラス102を運営している「有限会社心太」の代表取締役である藤井精司(ふじい せいじ)さんにお話を聞いてみました。
有限会社心太 代表取締役の藤井さんへインタビュー
家の前の屋台からはじまった朝まで屋。
創業者であり代表取締役の藤井さんにお店への想いなどをお聞きしました。
朝まで屋の誕生について
──お店の歴史を教えてください。
藤井(敬称略)──
今から23年前の2000年に開業しました。
当時、私は連島に住宅ローンを組んで家を購入したんです。
その住宅ローンを返すために、あまりお金をかけずに何かないかと考えたときに、家の前の車庫に目が入りました。
「そうだ、ここでラーメンをやろう」と思ったんです。
それが朝まで屋の歴史のスタートですね。
──はじめた当初はどうでしたか?
藤井──
儲けをだすために私もいろいろと考えました。
しかし、私は料理が何もできなかったんです。
そこでアルバイトを集めて流行っているものを真似するよう指示しました。
たとえば、当時流行っていた「台湾まぜそば」です。
そんな、ライトな気持ちではじめていたので、料理の味は全然美味しくありませんでした。
──では、どうしてこれまで続けてこられたのですか?
藤井──
飲食店をやっている人がいた場合、10人いたらだいたい10人が味で勝負をします。
だからこそ私は味ではなく違うもので勝負をしようと考えました。
それはずばり「時間」です。
具体的には店名を「朝まで屋」という名前にして、文字通り朝まで営業をおこなう。
味では勝負しないが、不味いものはださない。
そして誰もが入りやすい空間を作る。
そういったコンセプトのもとお店をスタートしましたが、初月で予想以上の売上を達成しました。
これには私もびっくりしました。
さらに面白いことに次の月もその次の月も、売上が落ちずに続いたんです。
朝まで屋テラス102について
──今回の新店舗「朝まで屋テラス102」について教えてください。
藤井──
朝までや屋テラス102は従来の「朝まで屋」と「あちテラス102Soup Curry Dining」を融合させたようなお店になっています。
今までの朝まで屋は、どちらかというと現場で作業をしている人が客層として多かったです。
しかし、朝まで屋テラス102では、女性客や家族連れが来てくれるようになり客層が広がりました。
──なぜ客層が広がったと思いますか?
藤井──
お客さんが会話を楽しむような店づくりをしたからだと思います。
従来の朝まで屋のセールスポイントは「時間」と「空間」でした。
そこに「会話」という要素を加えました。
朝までやテラス102は時間と空間と会話を楽しむお店です。
その取り組みの一つとして「だべりんぐタイム」を設けました。
だべりんぐタイムとは、ランチタイムと居酒屋タイムの間にあたる午後3時〜午後5時の時間帯のことです。
その時間は料理を提供できないが、ドリンクバーやスイーツの提供を予定しています。
カフェのような感覚で会話を楽しんでほしいと思っています。
──他にはどんな特徴がありますか?
藤井──
目玉はテラスでのBBQです。
窓をあけて中と外を一体化すると約70名で宴会できます。
そのBBQはセットを用意してお客さん自身にしてもらいます。
それにより人が集まり自由に動くことで「会話」を生むと考えています。
座って動かないBBQは焼肉と一緒です。
BBQの醍醐味は自由な会話と動けることだと思います。
人気商品について
──人気の商品を教えてください。
藤井──
人気なのはスープカレーとお好み焼きです。
どちらも私が考案しました。
岡山市中央卸売市場にいったときに、小さなスープカレーのお店を見つけたんです。
その店の名前は「スープカレーわたなべ」。
けっして大きい店ではありませんでしたが、流行っておりお客さんで賑わっていました。
これは面白いなと思い、さっそく家に帰ってYouTubeでスープカレーを勉強しました。
今はなんでもYouTubeが教えてくれます。
そうしてできたのが、あちテラス102Soup Curry Diningでも提供しているスープカレーです。
ただ、スープカレーだけだとお酒の注文が入りません。
またスープカレーそのものが、倉敷の人にとってはあまり知られていませんでした。
そこで考案したのがお好み焼きです。
お好み焼きであれば、誰でも入ってきやすいと考えました。
提供しているお好み焼きは関西風になります。
なぜなら広島風は焼くまで人が付きっきりなのに対し、関西風であれば焼いて
蓋をしておけば放っておけるからです。
つまり、その間に違う作業ができます。
ただ関西風だどどうしても粉っぽくなってしまうので、そうならないように、小麦粉の量を調整して改良しました。
──今後やってみたいことはありますか?
藤井──
次はたい焼き屋をやろうと思っています。
最初はたこ焼きをやろうと考えていましたが、知人にたい焼きを勧められました。
たこ焼きを3個も4個も買う人はいないが、たい焼きであれば好きな人は10個でも買うと言われました。
実際に岡山市北区建部町にある「日本一たい焼き」を見に行くと、何個もたい焼きを買っている人を見ました。
それで私も納得し、たい焼き屋をしようと思ったんです。
ただ普通のたい焼きではなく、手土産用のたい焼きを作ろうと考えています。
大抵たい焼きの購買動機は自分が食べたいからです。
しかし、それを手土産用にすることで購買動機を変えられます。
どうしたら持ってきた人々に喜んでもらえるかを今考えている最中です。
私はこのたい焼き屋を全国展開していきたいです。
おわりに
2023年6月30日にオープンした「朝まで屋テラス102」。
創業者である藤井さんの「味で勝負をしない」という話が印象に残りました。
藤井さんのお話を聞いて、実は常に物事を考えながらおこなっているのだとわかりました。
だからこそ23年も朝まで屋をやってこれたのだと思います。
店内は明るく開放感があり、メニューは品数豊富です。
水島に訪れたかたや朝まで飲みたいかたは、機会があれば一度行ってみてはいかがでしょうか。