三浦半島の戦争碑、刻まれた先人の思い 軍都だった横須賀で企画展

80基の石碑が紹介されている企画展「三浦半島の戦争碑」=横須賀市本町の市民活動サポートセンター

 三浦半島に残された戦争に関わる石碑を紹介する企画展「三浦半島の戦争碑~いしぶみが語る戦争と平和」が25日まで、神奈川県横須賀市本町の市立市民活動サポートセンターで開かれている。軍都だった市内に建てられた忠魂碑や慰霊碑を中心に80基の石碑を写真を交えて紹介し、建立者の思いを伝えている。

 戦争と平和について考えてもらおうと東京湾要塞(ようさい)研究家のデビット佐藤さんと写真家ストラーン久美子さんらでつくる「平和の語り部プロジェクト」の主催。

 日清戦争以降に建立が始まった戦没者忠魂碑は、日露戦争で戦病没者が増えたことから数多く建てられるようになったという。衣笠山公園(同市小矢部)には日露戦争戦没者のために忠魂碑が建てられたが、1948年10月頃に撤去された。跡地に建てられた観桜台には忠魂碑発起人の碑板などが残されている。

 事変や事故で亡くなった人の慰霊のためにも、多くの石碑が残されている。馬門山墓地(同市根岸町)には海軍演習中に台風の被害を受け、亡くなった人を慰霊する「第四艦隊遭難殉職者之碑」などが残る。また、戦没者慰霊碑、従軍記念碑、旧軍施設の碑など、各地に建立された石碑の歴史をひもといている。

 佐藤さんは管理団体の高齢化で維持管理ができなくなった石碑が多いことに危機感を抱いている。「身近にある石碑に目を向け、戦争について考えるきっかけにしてもらえれば」と話している。展示は午前9時から午後10時(最終日は同5時)まで。入場無料。

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