神奈川県小田原市内の耕作放棄地を再生してワイン用ブドウを生産するプロジェクトが3年を迎え、ボランティア約50人が市内の畑でワイン用品種「メイヴ」の収穫に汗を流した。荒れ果てた雑木林を開墾し植えたメイヴは千本以上を数え、今年はワインの販売も目指す。試行錯誤を重ねて来た市民は「これだけのメイヴの畑は世界でここだけ。小田原産ワインをブランド化したい」と夢を広げている。
相模湾を望む丘陵地。初めて本格的な収穫シーズンを迎えた畑には、3年かけて育てたブドウの房が小さな実を付けていた。6日に集まった約50人は枝切り用のはさみを手に、1時間ほどかけて約250キロを摘み取った。
プロジェクトが始まるきっかけは、前市長の加藤憲一さんやFMおだわらの鈴木伸幸社長の呼びかけだった。耕作放棄地の再生に加え、「死ぬまでに自分でお酒を造ってみたかった」という鈴木社長の夢に賛同したボランティアが集結し、30年以上放置されてきた土地を2020年に開墾してブドウ畑を整備した。
メイヴは19年に藤沢市内の農園で発見されたワイン用品種。プロジェクトでは今年3月に畑を拡充して300本の苗木を植え、現在は1.3ヘクタールに1300本のメイヴを育てている。加藤さんは「世界一の産地」と胸を張る。