濱尾ノリタカ「全然、違う役が皆さんにどういうふうに見られるか楽しみ」──「ブラックポストマン」「埼玉のホスト」インタビュー

田中圭が主演を務めるドラマ8「ブラックポストマン」(テレビ東京系)は、陽気で落語好きなごく普通の郵便配達員・副島力也(田中)がダークヒーロとして、いじめやネグレクトされた子どもたちを救っていくノンストップ・サスペンス・エンターテインメントドラマ。そして、山本千尋主演のドラマストリーム「埼玉のホスト」(TBSほか)は、“何もかも中途半端な埼玉のホスト”と“人を信用しない女”が目標のためにぶつかり、励まし合いながら絆を深め合う新しいラブストーリー&青春コメディーだ。「ブラックポストマン」では“黒髪短髪の新米刑事”、一方「埼玉のホスト」では“金髪のお調子者”と、同クールで180度違うキャラクターを演じている濱尾ノリタカに、それぞれの作品に込める思いや、大切にしていることを語ってもらった。

── 初めに、「ブラックポストマン」への出演が決まった時の心境を教えてください。

「出演していた舞台が無事千秋楽を迎え、『埼玉のホスト』への出演も決まって、その後に、このお話もいただて。本当にありがたいなと感じています。あと、今まであまり放送の時間帯を意識したことはなかったのですが、初めてのゴールデン帯ということで、あらためて身の引き締まる思いです。田中圭さん、志田未来さん、高橋メアリージュンさんという、すごい方々の中で高橋さんの相棒・長谷(祐介)役を演じさせていただけることも、素直にうれしかったです。『ブラックポストマン』で刑事役、『埼玉のホスト』でホスト役、同じクールでやらせていただくので、それがどういうふうに皆さんに見ていただけるのか楽しみです」

──「ブラックポストマン」では、サスペンスドラマに初挑戦。撮影してみていかがですか?

「サスペンス作品なので、事件が起こって誰かがけがをしたり、人が亡くなったりすることから物語が始まるのですが、それを“ドラマだから”と当たり前にはしたくないんです。それが大きな出来事であるというのを、きちんと受け止めるようにしています。殺人事件が起こって、河原で遺体を見るということは非日常であるはずなので、それをしっかりとリアルに感じて演じたいなと思っています。形だけの刑事にならないように気を付けています」

── では、新米刑事・長谷祐介を演じる上で意識していることはありますか?

「新米刑事なので、高橋さん演じる祖父江ひなたにくっついていく場面が多いんです。体育会系の先輩・後輩ではないですが、普段からくだらない愚痴を言ったり、ご飯をごちそうになったりという祖父江と長谷の間柄を、本当のように見せられるように意識しています」

たくさん話しかけちゃうタイプですが、皆さんに優しく答えていただいたり、とても接しやすい先輩方です

── 現場の雰囲気や共演者の皆さんの印象はいかがですか?

「僕は高橋さんとのシーンが圧倒的に多いので、田中さんや志田さんとはドラマの中でご一緒することがあまりないんです。それでも現場でお会いすると、お二人とも気に掛けてくださるので安心します。僕は人と話すのが好きで、自分から話しかけに行ってしまうタイプなのですが、それにも優しく応えてくださって。田中さんが出演されていた『mellow』という映画がすごく好きだったので、そのお話をさせていただいたり。自分の好きな作品に出演されている方とそのお話ができるなんて、ぜいたくな時間だなと感じました」

── 志田さんは同じ事務所の先輩ですが、何かお話をされましたか?

「はい! 事務所の先輩ということもあって、共通の話題が多いんです。志田さんのマネジャーさんは、僕が『仮面ライダーリバイス』(テレビ朝日系)に出演していた時に現場についてくださっていた方なので、その方のお話だったりとか。優しい先輩です」

── 長い時間ご一緒している高橋さんとは、どんなお話を?

「高橋さんは、ヨガや瞑想をされるそうなのですが、実は僕も瞑想することがあって。僕が瞑想の時に使っている環境音のアプリをおすすめしたら、実際に使って『すごくよかった!』と言ってくださったり。僕が読んでいる少しマニアックな本のお話をしたら、『それ私も読んでいるよ!』と盛り上がったり。意外にも共通点が多いので、親近感があるんです。高橋さんに失礼でないといいのですが…面倒を見ていただいています(笑)」

キャストもスタッフも全員仲良くて、かつてないほど雰囲気がいい現場でした

── 続いて、本日4話が放送される「埼玉のホスト」のお話を聞かせてください。ピュアで空気の読めないホスト・枚方祥太郎を演じる上で意識していることはありますか?

「祥太郎は、実は台本にないアドリブのセリフが多いんです。自分で放送を見て、そういう場面にこそ、ホスト仲間同士の仲のよさが表れているなと感じました。ムードメーカー的存在の祥太郎を演じる上で大事にしていた部分でもありました」

── 放送を見ていて仲がいいのがすごく伝わってきます!

「深夜ドラマでは珍しいみたいですが、クランクイン前にリハーサルを2回やらせていただいていたんです。そういう機会があったことや、キャスト同士の年齢が近かったり、コバト役の木村了さんも優しくしてくださったりということもあって、全員本当に仲がいいんです。なので、作中でも普段の仲のよさをそのまま持ち込むようにというか、いい意味で全く遠慮しないように意識していました」

── 現場の雰囲気も楽しそうです。

「かつてないほど雰囲気がよかったんじゃないかなと思います! 共演者の仲が深まる現場はたくさんあるとは思いますが、スタッフさんたちとも仲がよかったんです。撮影期間が1カ月ちょっとの短い期間でここまでいい雰囲気をつくることができたので、オールアップの時はものすごく名残惜しかったです」

── 同年代の方が多い現場だったかと思いますが、皆さんとお芝居についてディスカッションなどされましたか?

「しました! 話し合いが多い現場だったと思います。岩槻キセキ役の(福本)大晴(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)や、高崎セン役の(中沢)元紀とは特にお芝居の話をよくしていました。大晴とは、現場での自分の在り方みたいな話もしたのを覚えています。『仮面ライダーリバイス』を撮影していた時は、キャストと1年間ずっと一緒にいるからこそお芝居について語ることができる関係値でしたし、そういうことをする場所も与えられていました。でも、今回の現場ではそうではないのにもかかわらず、全員が自ら発言して、みんなで作って成長しようという意識があったと思います。同年代でそういうことを話す機会はあまりなかったし、非常に意識が高い現場でしたね」

── では、濱尾さん自身が祥太郎と似ているなと思う部分はありますか?

「今の僕というよりは、昔の自分に似ているなと感じます。この仕事を始めたばかりの頃、どうしても不安だから周りの顔色をうかがって意見を合わせてしまうことがよくあって。祥太郎も同じで、おバカでテンションが高いので、先陣きって発言しているような印象を受けるのですが、意外と周りを見てから発言をしているんです。例えば、マモル(田中洸希)とセンが『やってられない、帰る』と言っている時も、大抵、祥太郎は最後に同じように言うんです。そういうところが昔の僕っぽいなと思います」

── そこの部分は昔の自分を思い出しながら演じたり…?

「そうですね。空気を読む時は読むのですが、ただおバカなだけじゃなくて、周りの顔色をうかがう時があるというのは、彼の人間らしさとして出したかったところでもあるので、意識しました」

──「埼玉のホスト」はオリジナルストーリーですが、作品の魅力はどんなところでしょうか?

「ドラマの1、2話というのは、物語の立ち上げとして説明的になりがちだと思うのですが、この作品はあまりそういうシーンがなかった。ポンポンと進んでいく感じが、ある意味昔のドラマっぽいなと。2000年代のようなテイストがちょっと入っているところもあって、プロデューサーさんも僕らキャストも、昔のドラマっぽい感じという意識があったと思います。テレビをつけてご飯を食べながらとか、お酒を飲みながらとか、リラックスした状態で見るのにぴったりだと思うので、ぜひお楽しみいただきたいです」

── 確かに、最近のドラマでは見ない感じですね。ビジュアルもあえて昔っぽさが含まれていたり。

「そうなんです。『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)のプロデューサーが入っていらっしゃって、僕の髪形も少しダサいKINGみたいなイメージです(笑)。コバトの髪形もそうですし、2話で歌舞伎町のホストクラブ『ラブ2000』に行った後のノースリーブTシャツの上にベストというセンの格好も。ゆりか(山本千尋)とキセキと、『ラブ2000』のチーム以外、ダサさがにじみ出ていますよね(笑)。でも、原作がないオリジナル作品でここまで振り切っている作品もあまりないと思うので、そこも含めてすごく面白いなと思います」

── 3話まで放送されましたが、周りからの反響はいかがでしたか?

「シンプルに面白いと言っていただくことが多いです。あとは、SNSでオフショットをアップしているのもあって、現場が楽しそうと言っていただいたりします。それぞれのキャストのファンの方々みんなが、僕らが楽しそうでうれしいと言ってくれていて。僕たちが本気で楽しんで作っているからこそ伝わるものがあると思うので、それをファンの方々が受け取ってくださっているのはすごくうれしいです」

── 本日8月15日放送・第4話の撮影で印象に残っているシーンはありますか?

「4話の最後、祥太郎とキセキのシーンです。プロデューサーにも『あそこ、よかったよ』と褒めていただいて。でも、褒めていただいたからというだけではなく、実際にそのシーンを撮り終えた時に、2人で『いいシーンやったね』と握手しながらちょっと照れたりしていたので(笑)。撮影の最初の方から大晴とお芝居のことを話していたので、このシーンの撮影が楽しみでしたし、大晴も同じ気持ちでいてくれたようです」

── それはぜひ注目していただきたいですね! では、最後に4話の見どころをお願いします。

「祥太郎が怒るシーンがあるのですが、お芝居というよりも本当に怒っていて。そのシーンは自分の思うままにお芝居ができたので、ぜひ見ていただきたいです。あとは、『エーイチ』のお客さんであるエマちゃんに翻弄(ほんろう)されている祥太郎にもご注目です!」

【プロフィール】

濱尾ノリタカ(はまお のりたか)
1999年11月26日生まれ。東京都出身。A型。2020年にドラマ特区「ピーナッツバターサンドウィッチ」(MBSほか)で俳優デビュー。その後、ドラマ「仮面ライダーリバイス」(テレビ朝日系)、「ZIP!」朝ドラマ「クレッシェンドで進め」(日本テレビ系)、ドラマ10「大奥」(NHK総合)、舞台TEAM NACS Solo Project 5D2 -FIVE DIMENSIONS Ⅱ-戸次重幸「幾つの大罪~How many sins are there?~」などの作品に出演。

【番組情報】

ドラマ8「ブラックポストマン」
8月18日スタート
テレビ東京系
金曜 午後8:00~8:54(初回は午後8:00~9:48)


ドラマストリーム「埼玉のホスト」
TBSほか
火曜 深夜1:00~1:30(一部地域を除く)
※Netflixでは、各話地上波放送の1週間前、毎週火曜正午に先行有料配信中。
※地上波放送後、TVer、TBS FREEで各話無料1週間見逃し配信あり。

撮影/蓮尾美智子 ヘアメーク/Takeru Urushibara

© 株式会社東京ニュース通信社