10月9日～11月2日まで博多座（福岡市博多区）で上演される宝塚歌劇星組公演「ミュージカル『ME AND MY GIRL』」。公演に先駆けて、主演を務める専科（特定の組にも属さない団員）の水美舞斗と星組の暁千星、舞空瞳が取材会に出席した。
「ME AND MY GIRL」は、1937年に英国ロンドンで初演され、1646回のロングランを記録した世界中で愛される大ヒットミュージカル。宝塚歌劇においては、87年の剣幸、こだま愛を中心とする月組での初演が大好評を博し、その後も再演を重ねてきた。博多座では2008年に月組の霧矢大夢が主役を務め、上演されている。
物語の舞台は、1930年代のロンドン。下町で育った青年・ビルが名門貴族であるヘアフォード伯爵家の世継ぎであると判明する場面から始まる。粗暴な言動の青年が公爵夫人の行儀教育によって一人前の紳士に成長するまでを、恋人サリーとの恋物語を絡めて描きあげた“ロマンティックコメディー”だ。今回の公演ではビル役、そしてヘアフォード伯爵家を切り盛りする公爵夫人の友人で、遺言の執行人・ジョン卿を水美と暁が役替わり（ダブルキャスト）で。そして、ヒロインのサリー役を舞空が務める。
公演が決まった時の気持ちを問われると、水美は「専科に異動となって初めての公演で、星組の皆さんそして頼もしい2人とこうしてお仕事させていただけることをうれしく思っております」とコメント。それを受け、暁は「いつか共演させていただきたいと思っていましたが、まさかこんなに早くご一緒できるなんて。うれしく思っています」と笑顔を見せた。また、水美との共演経験のある舞空は「このようなご縁が夢のようです」とし、恋人役の暁については「今からとても楽しみで幸せに思っております」と期待を膨らませた。
加えて演目について、同作品に出演経験のある水美は「見ていても出演していても感じる“ハートフル”な作品」と表現し、「一幕ラストの『ランベス・ウォーク』での客席降りは作品の魅力の一つ。演目を聞いた時には廊下を『ランベス・ウォーク』で歩いちゃうんじゃないかってくらい、すごくハッピーでした」と照れ笑い。
一方、月組に配属されて初めての舞台が同作品だった暁は、前回の公演に対して「舞台経験が全然なかったので、いろんなことに苦戦したイメージがとてもあって…。その作品を楽しむというよりは必死についていったという感じ」と回顧。それを踏まえた上で「今回は自分自身もコメディーの世界観につかって、子ども心を忘れず楽しみたいなと思っています。また出演できるなんて思っていなかったので、緊張と不安はありますが…楽しみながらやっていきたいと思います」と意欲を見せた。
同作品をファンとして何度も見てきたと語る舞空は「宝塚でこれだけ歴史をつながれてきた作品。とびきり明るくハッピーなミュージカルが大好きなので、まさか出演させていただけるなんて。貴重なご縁をいただけたことが本当にうれしかったです」と笑顔。自身が扮（ふん）するサリーについて「今まで素晴らしい上級生の皆さまが演じられてきたサリーから、“とびきり明るい笑顔と真っすぐにビルを思う心”というのをずっと思い描いてきました」と明かす舞空に、水美と暁が「すごく合ってるよ」「とびきり明るいよ」と言い、照れる一幕も。
最後に、水美は「博多座での公演の機会をいただけましたこと大変光栄に思っております。よりよい舞台をお客さまにお楽しみいただけるよう、精いっぱい星組の皆さまとお稽古に取り組んでまいりたいと思います。客席でお会いできたらうれしいです」とあいさつ。暁は「大好きな博多座でこうしてまた舞台に立たせていただけることを本当にうれしく思います。大作での役替わりという挑戦もありますが自分自身が成長できるように頑張ってお稽古を重ねて参りたいと思います」、舞空は「博多座で大作ミュージカルに挑戦させていただけること、心から光栄に思っております。これから精いっぱい大切にお稽古に励んでまいりますので、たくさんの方に喜んでいただける舞台になったらいいなと心から願っております」とそれぞれ意気込みを語った。
【プロフィール】
水美舞斗（みなみ まいと）
6月28日生まれ。大阪府寝屋川市出身。2009年初舞台後、花組に配属。15年「カリスタの海に抱かれて」で新人公演初主演。高いダンス力に定評がある。23年4月28日付で花組から専科へ異動した。愛称はみなみ、マイティー、王子。
暁千星（あかつき ちせい）
9月14日生まれ。広島県福山市出身。2012年初舞台後、月組に配属。14年には新人公演で主演を果たすなど早くから注目を集める。22年5月に星組へ組替えとなり、さらに役柄の幅を広げている。愛称はARI。
舞空瞳（まいそら ひとみ）
8月27日生まれ。神奈川県横浜市出身。2016年初舞台後、花組に配属。かれんな容姿と確かな実力を持つ娘役として新人公演でもヒロインを務める。19年星組へと組替えし、同年11月より星組トップ娘役として舞台に立つ。愛称はひっとん、なこ。
