神鋼環境ソリューション 長崎県、長崎市と立地協定 DX推進拠点を新設 来年8月事業開始

立地協定に調印した(左から)大石知事、佐藤社長、鈴木市長=県庁

 神戸製鋼所のグループ企業で環境関連プラントの建設・管理を手がける神鋼環境ソリューション(神戸市、佐藤幹雄社長)は17日、長崎市内に新設するデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進拠点「デジタルイノベーションLab長崎」の立地協定を長崎県、同市と結んだ。2024年8月に事業開始予定で、30年までに28人の地元雇用を見込む。
 同社は下水処理プラントや廃棄物処理施設、リサイクル施設の設計、建設、維持管理が主力事業。将来の人手不足を見据えた設備の省人化や技術高度化、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルへの対応などの経営課題解決のため、DXを重要戦略に位置付ける。30年にIT人材を現在の約2倍の60人規模に増員し、半数を長崎で雇用。社全体のIT投資額も30年度に22年度比の3倍以上に増やす計画という。
 拠点は万才町の朝日生命長崎ビルに入り、IT戦略の企画立案や技術開発を担う。県庁で佐藤社長、大石賢吾知事、鈴木史朗市長が協定書に調印。佐藤社長は「当社と事業が生き残るための大きな分岐点となる。長崎で開発した技術をいち早く社会に提供できるようにしたい」と述べた。

◎佐藤社長インタビュー デジタル技術で社会貢献を

 神鋼環境ソリューションの佐藤幹雄社長に、DX推進拠点新設の狙いなどを聞いた。
 -DXに特化した拠点を本社外に置くのは初めて。
 一つ目は省人化。当社が提供する廃棄物や下水の処理施設は夜勤を含めた3交代制で運営している。だが将来的には人材確保はますます難しくなるだろう。少なくとも夜間は無人運転への移行が必要。デジタル技術の導入で省人化を進めなくては、操業自体が成り立たない。二つ目はカーボンニュートラルへの対応。2030年までの二酸化炭素(CO2)の削減目標を達成するために高度な制御技術が要求されている。こうした課題解決に向け、DXを加速したい。
 -長崎県進出の決め手と求める人材は。
 県内の大学、高等専門学校の優秀なIT人材の確保に加え、大学やIT企業との連携を期待できる。前社長の大濵敬織顧問が長崎県出身だった縁もあり、進出を決めた。地元雇用で重視したいのは「挑む姿勢」。デジタル技術を生かし、インフラを通じて環境負荷の低減などの社会課題解決に貢献できる。若い世代の社員には、やりがいを持って取り組んでもらえる仕事だと思う。

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