総理、福島第一原発訪問で放出へカウントダウン

 訪米中の岸田文雄総理は19日深夜に帰国。記者会見で「20日に東京電力福島第一原発を訪問する」とした。海洋放出へのカウントダウンが始まったといえよう。

岸田総理は「廃炉を着実にすすめ、福島の復興を進めていくために(日々増え続ける放射性物資により汚染された水のALPS処理水)海洋放出は先送りできない課題」と強調。全漁連会長との会談も「私もどこか(の時点)で会いたいと考えている」と直接、理解を求める考えを示した。

 岸田総理は「海洋放出開示時期は春から夏ごろを見込むと示してきたところだが、7月初めにIAEAが専門的立場から『ALPS処理水の海洋放出は国際安全基準に合致し、人および環境に対する放射線影響は無視できるほどである』との包括報告書を取りまとめた」と海洋放出に問題ないとアピール。

 岸田総理は「これ(IAEAの包括報告書)も踏まえて国内外に対し、丁寧に説明を続けてきた」と述べた。また漁業に対する影響を可能な限り抑制する観点など総合的に踏まえ、国として判断すべき最終的な段階に至っていると判断している」と福島原発訪問の意味を語った。

 岸田総理は訪問することで「ALPS処理水の海洋放出のために万全の対策がとられているか、現場の人らが重い責任感を持って進めているか、東電最高幹部が廃炉と復興に強い覚悟を持ってすすめているか、こうしたことを政府責任者として確認し、自らの思いを直接話したい」とした。

 一方で、岸田総理は「具体的な放出時期は安全性の確保、風評対策への取組み状況を政府全体で確認し判断していく」と具体的な日にちは示さなかった。(編集担当:森高龍二)

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