海洋放出「廃炉と復興に先送りできない」総理

 岸田文雄総理は20日、東京電力福島第一原発の廃炉について「今年度後半にも燃料デブリの試験的取り出し開始が予定されているなど、今後、廃炉作業がより本格化する中で、これを着実に進めていくためには新しい施設も建設していかなければならない」と述べ、敷地確保のために「ALPS処理水を処分し、タンクを減らすことが必要」と廃炉のためにもALPS処理水の海洋放出をする必要があるとアピールした。

岸田総理は「ALPS処理水の海洋放出は廃炉と福島の復興を進めていくために決して先送りできない課題」と改めて強調。そのうえで「安全性の確保と風評対策に万全を期して政府挙げて取組んでいきたい」と述べた。

 海洋放出による漁業者への「風評被害」について、岸田総理は「風評抑制に向けて安全性の確保などについて、科学的な根拠に基づいて、透明性をもって国内外にしっかり情報発信していくことが何よりも重要と考えている」とした。

 そのうえで「風評が発生した場合、水産物の販路拡大や一時保管、買い取りを支援するため、300億円の基金を経産省で措置している。それでもなお風評被害が発生した場合には東京電力が適切に賠償を行う仕組みもある」とした。(編集担当:森高龍二)

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