人が集まる拠点に 複合施設化 「参加型」で進行中 上越市東本町2「たてよこ書店」

屋内アスレチックに改修された空き家。壁や床には子どもたちや住民が落書きを楽しんだ。店主の堀田さん(左)、設計をした筏さん(右)

上越市東本町2の古書店「たてよこ書店」はこのほど、店舗裏の空き家を解体し、アスレチックとものづくりの工房に改修した。工事は一般に公開し、一部工程はワークショップとして地域住民や子どもたちも参加。同店店主の大学生、堀田滉樹さん(23)は「いろいろな人を巻き込みながらさまざまなプロジェクトを展開し、まちの生活を楽しく変えていきたい」と展望を語る。

6月には自習室がオープンし、今後は古着店の入居やカフェの開業など、堀田さんは建物全体を活用した「小さな複合施設化」を目指して事業を展開している。

子どもたちの遊び場をつくろうと、このほど改修したのは書店と渡り廊下でつながっている木造の二階屋。工作や手芸に取り組める工房と、建物全体をよじ登って遊べる屋内アスレチックに造り変えた。

改修に当たり、堀田さんの友人で、早稲田大で建築を学んでいる筏千丸(いかだ・ちまる)さん(23)が設計を担当。また堀田さんの高校の同級生で、新潟工科大大学院の阿達翔也さん(23)ら同大学生が筏さんの図面に沿って床や壁材を取り付けたり、ボルダリング用の足場を固定したりする作業に協力した。

工事は8月中旬に開始。工事自体を「ものづくり」と捉え、解体から仕上げまでの約10日間を一般に公開した。

アスレチックの仕上げ作業には子どもたちや近隣住民、SNSを通じて興味を持った人たちが大勢参加。壁や床に絵や文字、手形や足形などを思い思いに施した。

近所の人たちは連日、工事の進捗(しんちょく)を気にかけ、汗びっしょりで作業する若者たちを励ましたり、アドバイスを送ったりした。堀田さんは「すごくうれしかった」と振り返る。

建物の運用は秋以降を予定しているが、「建物が完成して終わりではなく、今後の運用や活用の仕方が大切」と堀田さんは語る。

ここに集う人たちが共にアイデアを出し合い、ここでしかできない体験を通して人が集まる仕組みをつくりたい。空き家の増加や人口減少は深刻な問題だけれど、住民参加型で楽しい方向に変えていけたら―。堀田さんは気負わず、まちの未来を見据えている。

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