「頑張る」を押しつけない…サンエックスが大人に刺さるワケ

「サンエックス」(代表:千田洋史)の90周年を記念した大展覧会が、「阪急うめだ本店」(大阪市北区)で開催中。「たれぱんだ」などの懐かしキャラが約400種集うとあって、初日から幅広い層のファンが訪れており、なかでも20~40代の女性客の多さが目立った。同社が生み出すキャラの「大人にも刺さる要素」とは?

『サンエックス90周年 うちのコたちの大展覧会』エントランス

■ 「そっと寄り添える存在」を目指して

約40年前から1000種以上ものオリジナルキャラを手掛けてきた同社。見た目は愛らしいものの、だらだらしたり、ちょっぴりやさぐれたり、どこかシュールな「人間らしさ」も感じられるキャラが多い印象だ。

担当者によると、「たしかに『かわいい』だけじゃないという共通点があると思います。誰もが持っている『ネガティブ』要素は、ときに『共感』につながるのではないでしょうか」。キャラクターのテーマは「頑張る」を押しつけないよう、「そっと寄り添える存在」を目指しているという。

「リラックマ」の大型立体物などフォトスポットも充実

■ 「脱力感」から大ヒット、海外進出も

会場でメイン展示されている「たれぱんだ」(1998年)「リラックマ」(2003年)「すみっコぐらし」(2012年)の3キャラクターにも、時代にリンクしたその要素が―。

1990年代に一世を風靡した大ヒットキャラ「たれぱんだ」は、その名のとおり独特のたれポーズ=「脱力感」が魅力。発売当時、子どもだけでなく日々に疲れたサラリーマンから共感を呼び、同社で初の絵本化、海外進出など大きく市場を広げるきっかけになったそう。

OLの家に住みつき毎日だらだら過ごす着ぐるみの「リラックマ」は、そのゆるさが注目され、担当者は「まるでプロフィール(設定)のように、このぬいぐるみを買うOLの方が多かったそうです。日々癒しを求める方が増えたのでは」と分析。15年連続で300億以上の市場規模を維持するほど絶大な人気を誇っている。

大人にも人気の「すみっコぐらし」は貴重なスケッチなども展示

現在も人気の高い「すみっコぐらし」は、「すみっこが落ち着く」ネガティブな仲間たちが主役に。「ちょっと変」なキャラ設定・「やさしい」ストーリーは幅広い世代に支持され、映画作品は「大人も泣ける」と話題に。「NRC 全国キャラクター調査」では年々小学生への認知度が高まり、担当者は「SNSなどで人間関係が希薄になりつつある現代の子どもにとって、『仲間』のよさも感じてくれているのかもしれません」。

個性派キャラたちの世界観が楽しめる『サンエックス90周年 うちのコたちの大展覧会』は、「阪急うめだ本店」9階催場にて、9月4日まで開催。時間は朝10時~夜8時(最終日は~夕方6時)。入場料は一般1300円ほか、物販スペースは入場無料(一部商品は展覧会入場者限定販売)。

取材・文・写真/塩屋薫

(C)2023 San-X Co., Ltd. All Rights Reserved.

『サンエックス90周年 うちのコたちの大展覧会』

期間:2023年8月23日(水)~9月4日(月)
時間:10:00~20:00(最終日は18:00終了)
会場:「阪急うめだ本店」9階催場(大阪市北区角田町8ー7)
料金:一般1300円、高校生800円、小中学生600円

© 株式会社京阪神エルマガジン社