宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月24日、X線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」と小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」を搭載した「H-IIA」ロケット47号機の打ち上げを1日延期すると発表しました。【2023年8月24日14時】
JAXAによると、延期の理由は天候の悪化が予想されるためとされています。H-IIAロケット47号機の新たな打ち上げ予定日時は日本時間2023年8月27日9時30分15秒です。なお、8月27日の打ち上げ可否については8月25日以降の天候状況を踏まえて再度判断されるということです。
【▲ X線分光撮像衛星「XRISM」。2023年7月21日撮影(Credit: JAXA)】
XRISMは2016年に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ」(運用終了)の後継機として、アメリカ航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)などとも協力して開発された科学衛星です。
【▲ 観測を行うX線分光撮像衛星「XRISM」のイメージ図(Credit: JAXA)】
JAXA宇宙科学研究所(ISAS)によると、XRISMに搭載された広視野のX線撮像器とX線分光器は星間空間や銀河間空間を吹き渡るプラズマに含まれる元素やプラズマの速度を画期的な精度で測定可能とされており、星や銀河だけでなく銀河の集団が形作る大規模構造の成り立ちに迫ることが期待されています。
【▲ 小型月着陸実証機「SLIM」。2023年6月1日撮影(Credit: JAXA)】
SLIMは月面へのピンポイント着陸技術を検証するための探査機です。月周回軌道を離れてからは月面に対して垂直の姿勢で降下しますが、着陸直前に機体を斜めに傾けて横向きに接地するという特徴的な着陸方法を採用しています。
【▲ 月面に着陸した小型月着陸実証機「SLIM」の想像図(Credit: JAXA)】
垂直姿勢で接地する従来の探査機では傾斜が大きな斜面などには着陸できませんでしたが、水平姿勢で接地するSLIMは斜面への着陸にも対応できることから、科学的に興味深い「着陸したい場所」への高精度着陸の実現に貢献することが期待されています。
【▲ SLIMに搭載されている変形型月面ロボット「SORA-Q(LEV-2)」。画像は変形後の姿(Credit: JAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学)】
なお、SLIMには「LEV-1」および「SORA-Q」という2機の探査ロボットが搭載されています。LEV-1とSORA-QはSLIMから着陸直前に分離され、月面到達後は画像の取得と地球へのデータ送信を連携して行う予定です。
■H-IIAロケット47号機 打ち上げ日時
打ち上げ予定日 : 2023年8月27日(日)
打ち上げ予定時刻 :9時30分15秒(日本標準時)
打ち上げ予備期間 : 2023年8月28日(月)~2023年9月15日(金)
打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター大型ロケット発射場
※JAXAプレスリリースより。予備期間中の打ち上げ時刻は打ち上げ日毎に設定されます。
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文/sorae編集部