“ネオ和菓子”に期待

全国の「あんこ屋」がピーク時の3分の2に減少した。得意先の一つである街の和菓子店が、大手菓子チェーンやコンビニの台頭、後継ぎ不足、洋菓子人気により、廃業が相次いでいることが影響している。

▼ある製あん業者は将来の職人を育てるため、地元の製菓専門学校を巡り、和菓子の良さを伝える活動に力を入れている。だが学生のほとんどが洋菓子やパン職人を希望。和菓子職人を目指す若者は100人のうち1人だった。中には、あんこを一度も食べたこともない生徒もいたという。

▼若者の和菓子離れが進む一つに、ひな祭りや端午の節句、彼岸など団子やまんじゅうを食べる行事が希薄化していることが大きい。若者にとって伝統や文化は堅苦しいイメージを与える。一方の洋菓子は、日常からハレの日まで幅広く利用できるといった利点があり敷居が低い。若者のハードルを下げる努力が和菓子には必要だ。

▼チョコレートや季節のフルーツを取り入れた和洋折衷スタイル、インスタ映えに挑戦する華やかな和菓子も増えてきた。かつていちご大福が“ネオ和菓子”から定着したように、これらが市民権を得て、需要底上げにつながることを期待したい。

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