旧知事公舎ホテル開業 観光起爆剤に期待

「紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良」の玄関前でテープカットを行う山下知事(右から2人目ら)=29日、奈良市登大路町

 奈良市登大路町の奈良公園吉城園周辺地区に、旧知事公舎などの歴史的建造物を生かした新しいホテル「紫翠(しすい)ラグジュアリーコレクションホテル奈良」が29日、開業した。同日、記念式典があり、山下真知事や整備を手がけた森トラスト(東京都)の伊達美和子社長らがテープカットで開業を祝った。

 奈良公園の西端に位置し、知事公舎や青少年会館などが立っていたが、東大寺や春日大社に近い好立地を観光に生かそうと、県が事業提案を民間事業者から募集し、選ばれた森トラストグループが県有地にホテルやカフェを整備した。

 敷地面積は約3万平方メートル、延べ床面積は約4400平方メートル。ホテルは森トラストグループのホテルブランド「翠 SUI」と、米国のマリオット・インターナショナルの「ラグジュアリーコレクション」のダブルブランドを冠し、国内外の富裕層の利用を見込んでいる。

 1922(大正11)年建築の旧知事公舎は宿泊客らを迎えるメイン棟として活用。レストランや蔵を改修した寿司バーなどもあり、51年に行幸中だった昭和天皇がサンフランシスコ講和条約の批准書に署名した「御認証の間」も保存し、見学できるようにした。

 新設した宿泊棟には客室43室を整備。うち23室は温泉風呂を備えた。宿泊料金はスタンダードルームが12万円〜、最上級の「プレジデンシャルスイートルーム」が約82万円〜。

 旧興福寺子院「世尊院」は一般客も利用できるカフェに生まれ変わった。

 開業に先立ち、行われた記念式典ではカール・ハドソンマリオット・インターナショナル日本&グアム担当エリアヴァイスプレジデント、山下知事、伊達社長、同ホテルの羽鳥寛之総支配人の4人がホテルの玄関前でテープカットし、開業初日の宿泊客を迎えた。

 山下知事は「このホテルが起爆剤となり、奈良を訪れる国内外の観光客が増えることを期待している」と開業を喜んだ。

 伊達社長は「歴史を体感できる唯一無二の場所。ゆっくりと滞在し、ホテルや地域の良さを体験し、気持ち豊かにリフレッシュしていただければ」と話した。

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