買うこと自体が目的になる!?誰でもなる可能性のある買い物依存症の特徴とは【図解 依存症の話】

衝動を抑えられず借金を繰り返す

買い物をすると気分が高揚し、一時的に嫌なことが忘れられます。ただし、繰り返すうちに高揚感をもたらす買い物という行為自体が目的になり、コントロールができなくなることも。正式な診断名ではありませんが、こうした状態は一般的に買い物依存症と呼ばれています。行為だけではなく、服や車など特定の購入物に依存するケースも多く、病態像は多岐にわたります。2022年の大石クリニック新規患者数は女性4人、男性2人。女性の疾患と思われがちですが約3割は男性で、趣味の延長からというケースがよくあります。購入先は圧倒的にネットショップが多く、支払いも登録済みのクレジットカードで払うため、お金を使った感覚がほとんどありません。衝動的な欲求が抑えられず借金をしてでも買い物を繰り返しますが、購入後は大半買った物への興味を失います。依存の背景に双極性障害、発達障害、うつ病などが潜んでいることもあります。

例えば、双極性障害の定期的に気分が高揚する時期に大金を使ってしまう、ASDに見られるこだわりの強さから同じボールペンを何本も買う、うつ病なら気分が沈みきって少し回復し始めたときに気持ちを上げようとして買い物するといったもので、合併する疾患も治療の対象になります。こうしたケースでも、買うことだけで満足して、買った物の箱を開けずに放置していることが多々あります。

買い物依存症の特徴

ネットでの買い物が多い

ネットショップやSNSのおすすめを見て、クリックするだけで購入。お金を使った感覚がほぼない。

男女でハマり方の傾向が異なる

女性は服やバッグ、アクセサリー、男性は趣味のグッズのコレクターからハマるケースが多い。

発達障害やうつ病との関連も

気持ちの浮き沈みが大きい双極性障害や、こだわり行動のある発達障害、うつ病が影響していることも。

買い物依存症は浪費とは違う!

飲食や旅行でお金をたくさん使ってしまうのは浪費。衝動的な浪費は金銭管理という面では問題がありますが、買い物依存症とは異なります。

出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之

【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著

特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。

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