ビリー・ジョエルがやって来る!16年ぶり一夜限りの来日公演が東京ドームで開催  日本で人気の「ストレンジャー」や「オネスティ」は、アメリカではほとんど演奏されない!?

16年ぶりのビリー・ジョエルの来日公演で思こと

16年ぶりのビリー・ジョエルの来日公演が発表されました。現時点では、来年1月東京ドーム1回だけの公演。それは大プラチナチケットになることは間違いありません。チケットが入手できるものなら久しぶりにライブ会場に足を運んでみたいと思ってます。

実は、こういう気持ちになったのは久しぶりのことで、この30年近く、私が現役時代の担当アーティストの来日公演があったとしても、観たい行きたいと思うことがなかったのです。過去一、二度担当アーティストの数年ぶりの日本公演に足を運んだことはあったのですが、懐かしさは感じつつもライブ後の満足感はあまり得られず、「来ることもなかったかな」と思ったこともありました。

例えば、久しぶりの同窓会に顔を出して、懐かしい仲間に会ったのに、ちょっとがっかりした…。という感想に近かったのかも知れません。自分も歳とって髪も白くなり体重も増えて体つきがすっかり変わっているのに、当時好意をもっていた女子には、その頃と同じ顔カタチを勝手に期待して、現実とのギャップにちょっとショックを感じた、というのでしょうか。こういうのは懐かしさを味わうだけで充分ではないかと思いますが、それ以上のものを求めていたのかも知れません。

人は自分にとって都合がよかった過去のことは、美化しすぎる傾向にあるのかもしれません。極めて自分勝手にでっちあげた期待感がそうさせたのか分かりませんが、以降、来日公演の情報を得てもあまり行ってみたいと思わなくなってました。

そういう経験がありながらも、ビリー・ジョエル来日公演のニュースを耳にして、「行ってみたい!」と自然に思ったことに自分でも驚いている次第です。

洋楽部門の現場時代、制作ディレクターとしてビリー・ジョエルを担当

あらためて自分とビリーの関わりについて説明します。私はレコード会社(当時の社名は「CBS・ソニー」)洋楽部門の現場時代、制作ディレクターとしてビリー・ジョエルを担当していました。前任者の時代に、アルバム『ストレンジャー』『ニューヨーク52番街』の2枚連続で、当時の洋楽としては最高の売り上げ100万枚越えを記録していましたし、次作の1980年に発売された『グラスハウス』まで含めると、3タイトルで300万枚セールスに近い実績がありました。

そして前任者の異動をうけ、私がビリーの担当に就き、最初に手掛けた作品が1982年の『ナイロン・カーテン』です。以降『イノセントマン』『ビリー・ザ・ベスト』『ザ・ブリッジ』『コンツェル』から89年『ストーム・フロント』までの80年代は、まさに編成制作の現場の担当者として、彼と付き合ってきました。ディレクター時代に、もっとも多くのアルバムタイトル数を担当したのはビリーでした。

インタビューと写真撮影が嫌いな彼ですが、それでもNYで3〜4回ほど取材現場にアテンドしたし、本国でのライブ取材も数回やってます。何より興行元にとってもドル箱アーティストでしたので来日公演回数も多く、ディレクターとして地方公演にも同行するし、コミュニケイトする機会も沢山ありました。最も多くの時間とエネルギーを費やしたのが、ビリー・ジョエルであることは間違いありません。

ちなみに、これだけの実績をもつスーパースターを担当することは、嬉しかったと同時に実は結構きついものも感じてました。仕事ですから担当が代わって売り上げが大きく落ちることだけは避けたいものです。この新米ディレクター時代に最初に担当した作品『ナイロン・カーテン』のマーケティングに関しての苦悩を始めとし、彼のことはその後の来日エピソードなども数多く、この Re:minder に7〜8本ほど原稿をアップしていますので、是非読んでいただけると嬉しい限りです。

ビリーの音楽と彼のプレイ姿は、私の中で途切れることなく繋がっている

ビリーはアルバムこそ1993年以来発表していませんが、ライブアクトとしては継続的に精力的な活動をしているようです。アンコールでポール・マッカートニーが登場するNYシェイ・スタジアムのライブ映像は私も大好きで何度も楽しんでいますが、NY名物となっていたマジソン・スクエア・ガーデンでの月1回のライブは10年近く続け、来年7月で150回になることをケジメに終了とのこと。すごいことですね。この会場だけで300万人近い観客を楽しませたということです。

実はなぜ今回、自然な気持ちでライブに行ってみたいな、と思ったのかを自分なりに考えてみました。もちろんディレクター時代に最も時間と知恵とエネルギーを注いできた愛着あるアーティストだというのが一番ですが、多分継続的に彼のライブ映像を観てきたということも、その気持ちを後押ししていそうです。

商品化された映像はともかく、特に昨今のYouTube の存在は大きなものです。過去のMVから直近のライブまで、彼の映像は数多くアップされているので、その都度簡単に彼の姿は私の中でもアップデートされています。髪をなくしてもう長い間スキンヘッド状態にあることも、体重が増え横幅がちょっと広がったことも分かってます。もう自分勝手に美化したイメージとのギャップにがっかりすることはありません。ビリーの音楽と彼のプレイ姿は、私の中で途切れることなく繋がっているということです。

デビューアルバムは1973年の「ピアノマン」、この年に始まったミュージックマンとしてのキャリア

私は団塊の世代。ビリーも同じく戦後、冷戦下のベビーブーマーのひとり。彼は昭和で言うと、24年5月生まれ。私は昭和25年1月生まれ。日本の学校制度でいけば、同じ学年ということになります。

彼は1973年の『ピアノ・マン』でメジャーシーンに登場しました。私のミュージックマンとしてのキャリアもこの年に始まりました。私のCBSソニー入社時の最初の配属先は、作家の著作権を管理する音楽出版部門で、ここではアーティストではなく、私と同い歳の作家としてのビリー・ジョエルと付き合っていましたし、洋楽部へ異動後は宣伝マンとして、彼のアルバムを抱えFM局やTV局にプロモーションに行ってました。

その同世代のビリーは3回の結婚を経て、また数年前に新しいお子さんを授かっています。ミック・ジャガーには負けますが、エネルギッシュでロックンロールな私生活にも敬服します。

ファンが聴きたい曲はほとんどやってくれそうな来日公演

今、久しぶりにビリーの公演へ行ってみたいというのは、分かり易い期待感ですが、東京ドームで彼の歌声を浴びてパワーを分けてもらいたいということに他なりません。これこそが音楽の力だと思いますが、懐かしさだけでなく、当時のヒット曲を聴いた時に、若かった自分に戻れることは間違いありません。彼を見習って、このところなんでも歳のせいにして、ずぼらになってきた自分を戒めたい気持ちもあります。

直近の彼のステージのセットリストをチェックしてみました。へそ曲がりのビリーですし、ファンサービス精神も高い彼なので、連続公演の場合は毎回微妙に変えていますが、演奏曲目は大体25曲前後。多い時は30曲近くやっています。

最近のステージで頻度高く演奏されているのは、「マイライフ」「ム―ビン・アウト」「イノセント・マン」「ロンゲスト・タイム」「ウィーン」「若死にするのは善人だけ」「アレンタウン」「イタリアン・レストランにて」「ピアノマン」…。そしてアンコールの流れは定番になりつつある、「ハートにファイア」~「アップタウン・ガール」~「ロックンロールが最高さ」~「ビッグショット」、そして「ガラスのニューヨーク」となっているようです。ファンが聴きたい曲はほとんどやってくれそうです。

ちなみに、日本人に人気の 「ストレンジャー」や「オネスティ」はアメリカではほとんど演奏されてませんし、最初の奥さんに贈った曲といわれる「素顔のままで」は本当にごく稀にセトリに入りますが、ほとんどの場合は外しているようです。

その当時、日本公演でもこれらの曲を外していたことが分かったので、興行元の社長さんと協力して、いやがるビリーを説得し事なきを得たこともあります。ある年の公演では、全米ツアー同様の照明等の演出パッケージの流れが出来上がっていることもあり、開始ド頭に「オネスティ」をやったこともあります。ちょっと遅れてきた観客は残念ながら大好きな曲が聴くことができず、残念に思ったかも知れません。

日本やSONYのことが大好きだったビリーが16年ぶりとはいえ、日本人が好きな曲を覚えていてくれて、レパートリーに入れてくれることを願ってます。

ビリー・ジョエル一夜限りの来日公演が決定!
2024年1月24日(水)東京ドーム
17:30開場/19:00開演

チケット:
VIP SS席 100,000円(税込)
※アリーナセンターブロック指定席/VIP SS限定グッズ/物販優先レーン/ウェルカムドリンク/専用入場ゲート
VIP S席 50,000円(税込)
※アリーナ指定席/VIP S限定グッズ/物販優先レーン/専用入場ゲート
バルコニー席 35,000円(税込)
※専用入場ゲート/専用トイレ
S席 24,000円
A席 16,000円
B席 12,000円(各税込)

グループ販売チケット
MASU BOX  1枚 35,000円(税込)
※1組 4枚/5枚/6枚/7枚/8枚/9枚/10枚のセット販売

THE 3rd PLATINUM BOX 1枚 35,000円(税込)
※1組 4枚のセット販売

SKY TERRACE 1枚 24,000円(税込)
※1組 4枚/5枚のセット販売

https://billyjoel2024.udo.jp

カタリベ: 喜久野俊和

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