「仮面ライダーガッチャード」主演の本島純政、自身を支える“身近なヒーロー”の存在、作品への熱い思いを語る

9月3日よりスタートする「仮面ライダーガッチャード」(テレビ朝日系)。“錬金術”と“カード”をモチーフにした、令和ライダー5作目となる本作は、錬金術における最高の技術を集めて造られた人工生命体ケミー、彼らが保管されていた101枚のライドケミーカードが、一斉に開放されてしまうところから物語は始まります。偶然、その事件に巻きこまれてしまった主人公・一ノ瀬宝太郎は、変身ベルト・ガッチャードライバーを託され、世に放たれたケミーを回収する使命を与えられることに。

先日最終回を迎えた「仮面ライダーギーツ」のラストには、路上を駆け抜ける宝太郎を見守る浮世英寿(簡秀吉)の姿も話題となりましたが、その宝太郎を演じるのが、ドラマ初主演となる本島純政さん。今回、会見直後の本島さんを直撃すると、満面の笑みで「本島純政です!」とハツラツな様子で出迎えてくれました。多くの取材をこなしても「楽しくて仕方がない」と疲れを見せない本島さん。話を聞いてみると、ここまで“楽しさ”を感じている裏には、ある支えがあることを明かしてくれました。

――制作発表会見を含め、今日は取材を受ける機会も多かったかと思いますが、「仮面ライダーガッチャード」が始まる実感も少しずつ湧いてきましたか?

「そうですね。インタビューを受ける前まではここまで自分の役について話す機会もなかったので、本当にうれしい気持ちもありますし、いよいよこれから『仮面ライダーガッチャード』が始まるんだと感じました。制作発表会見もすごく緊張していたのですが、終わった後に『楽しめたな、やりきったぞ』という達成感もあって、すごく楽しかったことが印象に残っています」

――制作発表会見でも楽しそうに話す姿が印象的でした。

「本当ですか!? うれしいです!」

――あらためて出演が決まった時はどんなお気持ちでしたか?

「『よっしゃあ!』って、事務所で飛び跳ねて喜んだことを覚えています。でも、その後にだんだんと『1年間やりきれるのか』という不安や、責任感が襲いかかってきた感じがありました。今は撮影が始まって、“楽しい”の一択です」

――撮影に入る前にはスタッフの方と顔合わせや読み合わせもされたかと思いますが、周りの方から何か言われて印象に残ったことはありますか?

「第1話、第2話の監督が田﨑竜太監督だったのですが、本読みをした時に『お前はもっとガソリンが必要だ』と言ってくださって。『車はガソリンでしか走らないんだ。車の側だけあったとしても車は走らない。お前がその中に“感情”というガソリンを注いであげることで、この車は初めて動いて、感情のハンドルを切ることで自分をコントロールすることができるんだよ』と言っていただいて、それが自分の中ですごく響きました。『もっと頑張ろう』という、自分のガソリンにもつながって、うれしかったです」

――そこで初めてエンジンがかかったんですね。

「そうですね。そこであらためて『『仮面ライダーガッチャード』の主演なんだ、主演だからこそ走りきらなければいけないんだ』というプレッシャーも感じましたが、『自分がもっとガソリンを注いだら、どんな宝太郎が生まれるんだろう』と考えることもできたんです。本読みのために、自分ではこれ以上ないぐらいに読み深めていたつもりだったのですが、まだまだ読み深めが足りないんだと感じましたし、例えば、一つのセリフに対しても『どういう感情なのか、3、4パターン用意しておいて』と言っていただいて。自分の引き出しは一つ、二つしかなかったのですが『それをもっと増やして3、4個にした方がいいよ』と言っていただいてからは、それを意識するようにしています。(台本では)感情がまとめてつながっている時もあるのですが、一つ一つのセリフを大切にして、いろいろな引き出しを用意して現場に向かうようにしています」

――役作りもかなりこだわられているのではないでしょうか?

「演技経験が少ないので、やれることをやるしか僕には選択肢がないんです。うまくやろうとしても絶対にできないですし、その場限り(の演技)でやろうとしても僕はまだできないので、日常から全力投球でどんどんやっていくしかないと思っています。でも、演じている時は楽しいですし、台本の落とし込みでいうと、いろいろなパターンを考えている中でふと思いついたものが、実際現場でやってみると意外とハマったりするんです。それが本当に面白くて! 『いろいろなパターンや引き出しを用意して現場に行く』というのが楽しみになっています」

――お話を聞いていると、本島さんの役作りは宝太郎の「自分だけの何かを探す」というところとも似ているところがありそうですね。

「“自分だけの演じ方”でいうと、いろいろなパターンのセリフの解釈を考えて用意はしていくんですが、現場では『こうやって明るく演じよう』といったことはあまり意識しないようにしていて。そうすることでうまく演じられる方もいらっしゃると思うのですが、僕はうまくできない方なので、それよりもその時の感情をナチュラルに自分の中に落とし込んで、その時に出た音をありのまま出してどんどん役に入り込んでいく感じかもしれません」

――今回、「仮面ライダー」作品の主演を務めることになりますが、これまで「仮面ライダー」作品に触れてきたことはありましたか?

「実はがっつり触れてきてはいなかったんです。小さい頃は海外のアクション映画を見たりしていて、チャンバラごっことかをしていました」

――どんな作品を見られていたのでしょう?

「『007(ダブルオーセブン)』などを見ていましたね。お父さんが洋画好きで、その影響で『007』『トランスフォーマー』『トランスポーター』と、アクション映画を中心に見ていました。そういう作品にもヒーローは必ず出てくるので、『ヒーローは無敵で格好いい』という自分の中のイメージもあって、だから今回、仮面ライダーというヒーロー役に選ばれた時はものすごくうれしかったです」

――ちなみに、本島さんにとっての“ヒーロー”はどんな方を思い浮かべますか?

「お母さんです。僕が撮影で疲れて帰ってきた時は『純政、大丈夫?』と声をかけてくれたり、お風呂を沸かしてくれたりしてくれることが本当にありがたくて。僕は基本的に現場にはサラダを持っていくようにしているのですが、僕が疲れている日や今日のような取材日でも、『体力温存のために私が作るよ』と言って作ってくれて。僕のヒーローはお母さんですね。すごく支えになっています」

――今回出演が決まった時も、お母さまはかなり喜んでくれたのではないでしょうか?

「出演が決まった時は、事務所で言われて喜んだ後に、お母さんに早く伝えたくてちょっと早歩きで帰ったんです。急いで帰ってから『お母さん1回座って、報告があるんだよ』と言ってから、『俺、『仮面ライダー』の主演に決まった!』と言ったら、泣いて喜んでくれて。それは今でも覚えています」

――本作での長い1年間の撮影に対するモチベーションの中には、「お母さんのために頑張ろう」という気持ちも支えになっていそうですね。

「『仮面ライダーガッチャード』のオーディションを受けている時からお母さんには伝えていて、『頑張っておいで、純政なら絶対に大丈夫』と毎回背中を押してくれたので、それが僕の中の支えになっていましたし、それがあったから受かったのもあると思います。やっぱり自分1人だと、疲れた時には『明日現場行きたくないかも…』となっていたかもしれないんです。でも、お母さんがそうやって支えてくれることで今の僕がありますし、こうやって元気に取材をさせていただいているから、本当に感謝しています」

――いよいよ「仮面ライダーガッチャード」の放送が始まります。最後に、これからの撮影に向けての意気込み、視聴者の方へのメッセージをお願いします。

「僕としては、今の撮影が楽しくて、かつ、すごく真剣に向き合っているつもりでいるので、この感覚を途中で忘れることなく1年間突っ走り続けて、1年後どんな自分になっているか楽しみにしながら頑張りたいと思います。今回演じる宝太郎はとても明るい人物で、僕もその部分をすごくこだわっているので、その面が伝わってくれたらいいなと思っています。キャストの皆さん、スタッフの皆さん、みんなで毎日全力で撮影していますので、その熱量は映像を通じて伝わると信じています。みんなの熱量を感じて、この作品を楽しんでいただけたら、そして応援していただけたらとてもうれしいです!」

【プロフィール】

本島純政(もとじま じゅんせい)
2005年1月5日生まれ。東京都出身。23年3月よりアミューズに所属。ドラマ「4月の東京は…」(MBS)などに出演。今後、役者業を主軸として活動の幅を広げていく。

【番組情報】

「仮面ライダーガッチャード」
9月3日スタート
テレビ朝日系
日曜 午前9:00〜9:30

取材・文/平川秋胡(テレビ朝日担当) 撮影/蓮尾美智子

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