ウエーバーで5選手放出のエンゼルスは「ぜいたく税回避」に失敗か

ウエーバーでルーカス・ジオリト、マット・ムーア、レイナルド・ロペス、ドミニク・リオン、ハンター・レンフローの5選手を放出したエンゼルスだが、どうやら「ぜいたく税回避」の目論見は失敗に終わったようだ。日本時間9月2日、地元紙「オレンジ・カウンティ・レジスター」のジェフ・フレッチャー記者が伝えたところによると、エンゼルスは今季のぜいたく税ラインである2億3300万ドルをわずかに上回っているという。ランドール・グリチックのウエーバー移籍が成立していれば、ぜいたく税を回避することができたようだ。

フレッチャー記者によると、エンゼルスがぜいたく税ラインを超過している金額は、グリチックに対してシーズン最後の1ヶ月で支払う金額より小さいという。つまり、どこかのチームがグリチックの獲得を希望していれば、エンゼルスは「ぜいたく税回避」に成功していたことになる。しかし、残念ながらグリチックの獲得を希望する球団は現れず、グリチックはシーズン最後の1ヶ月もエンゼルスでプレーすることに。なお、エンゼルスはタイラー・アンダーソンやアーロン・ループもウエーバー公示していたようだが、こちらも獲得に動く球団は現れなかった。

なお、プレーオフに出場するためには8月末までに移籍していなければならないというだけであって、9月以降もウエーバーによる選手の放出は可能だ。よって、エンゼルスが「ぜいたく税回避」だけを目指すのであれば、ブランドン・ドルーリーやカルロス・エステベスといった主力選手をウエーバー公示して他球団に獲得してもらい、年俸総額を削減する方法もある。

しかし、フレッチャー記者によると、ペリー・ミナシアンGMは「今季ぜいたく税ラインを超過したからといって、それは来季の補強予算に影響を与えるわけではない」と話しているという。このコメントから判断する限り、エンゼルスは無理に「ぜいたく税回避」のために動くつもりはないようだ。

確かに、エンゼルスはぜいたく税ラインをわずかに超過しているだけであり、エンゼルスがぜいたく税として支払う額は大きくない。しかし、ぜいたく税ライン超過によるペナルティはいろんなところに影響を与える。たとえば、ぜいたく税の税率は、1年目は20%だが、2年連続で超過した場合は30%、3年以上連続で超過した場合は50%と徐々に上昇していく。ぜいたく税ライン以内に収められるシーズンがあるのであれば、そのときにぜいたく税ラインを下回っておくに越したことはないのだ。

また、大谷翔平がクオリファイング・オファーを拒否して他球団へFA移籍した場合、エンゼルスは補償指名権として全体70位前後のピックを得られるはずだったが、ぜいたく税ラインを超過した場合は、全体140位前後のピックとなってしまう。ドラフトで獲得できる選手のクオリティにも影響が出ることになる。

若手有望株を放出してジオリトらを獲得し、逆転でのプレーオフ進出を目指したエンゼルスだったが、8月は8勝19敗でプレーオフ争いから脱落。すると、一転してウエーバーを活用し、「ぜいたく税回避」を狙ったが、それも失敗に終わった。残念ながら、この1ヶ月間のエンゼルスフロントの動きは、何一つ上手くいなかった。

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