集団の暴走回避に「異を唱える」 震災から100年 映画「福田村事件」公開中

関東大震災から100年 映画「福田村事件」公開中

 関東大震災から5日後、千葉県の福田村(現在の野田市)で朝鮮人と疑われた香川県からの行商団が殺害されました。

 我孫子市在住の映画監督がこの事件を題材に劇映画を製作し、現在公開されています。

 映画「福田村事件」は震災から5日後の1923年9月6日、香川県から来た行商15人のうち、妊婦や子どもを含む9人が福田村などの自警団に殺害された事件を題材にしています。

 オウム真理教を内側から描き出した「A」などのドキュメンタリー作品で知られる森達也さんが監督を務めました。

 当時は、「朝鮮人が暴動を起こす」などというデマが流れ、各地で無実の朝鮮人や朝鮮人と疑われた人が被害に遭いました。

 映画の公開を前に記者会見した森監督は、この映画についてオウム真理教を取材して以来抱えている「なぜ善良な人が凶暴な行為に及ぶのか」をテーマに加害者側の視点から描いた作品だと説明しました。

 そして、集団による暴走については、「集団化とは同質化。結束を強めるために異物を排除する。多数派が違いを見つけ少数派を排除する。同調圧力が差別や迫害につながる」と指摘したうえで次のように述べました。

 森達也 監督
「キーワードは集団。組織と言い換えてもいい」「集団や組織に帰属したときに、人は普段とは違う行いをしてしまう」「(集団に)帰属しながらも個を保つことができるはず。全体が暴走し始めたときになぜみんな同じ方向に走っているのかと異を唱える」「一人称単数の主語を保つ集団にいながらも、私や僕とか、一人称単数の主語を持つことで、埋没しないギリギリのところで回避できるのではないか」

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