神奈川・真鶴で町長のリコール住民投票が告示 24日に投開票 報道陣の会見要請に町長は

松本一彦町長の解職請求を是非を問う住民投票を告示する真鶴町選挙管理委員会職員=同町役場

 神奈川県真鶴町の選挙人名簿を自らの町長選に不正利用した松本一彦町長のリコール(解職請求)の是非を問う住民投票は4日、告示された。解職に過半数が賛成した場合、松本氏は失職する。リコールを主導してきた住民団体が約3千票の賛成票獲得を目指して投票を呼び掛ける一方、松本氏は弁明書で「町長としてやるべきことがまだある」と解職に反対するよう訴えた。投開票は24日。
 
 松本氏が失職した場合は50日以内に町長選が行われる。県内で首長を対象としたリコールの住民投票が行われるのは戦後4例目で、2006年の城山町(現・相模原市)以来17年ぶり。

 住民団体「真鶴の未来をつくる会」は町内で出発式を行い、青木厳会長は「勇気ある町民の行動でこの日を迎えた。松本氏は自ら招いた混乱に向き合っていない」と訴えた。同会はリコールの本請求に当たり有権者の3分の1を超える2350筆の署名を集めており、住民投票ではさらなる上積みを図るとしている。

 一方で松本氏は報道陣の会見要請に応じず、この日は終日、役場内で公務に当たった。松本氏の支援者も表だった活動は行わず、「(名簿の)コピーを選挙はがきの発送以外に利用したことはなく、(現在は)手元に一切ない」と主張する松本氏の弁明書が町選挙管理委員会から公表された。

 松本氏は20年に役場内から選挙人名簿を複写して持ち出し、同年の町長選で選挙はがきの郵送に使用。21年の出直し町長選で再選を果たしたが、町が松本氏を刑事告発し、町職員の4分の1が退職するなど、町政の混乱は続いている。

 期日前投票は午前8時半から午後8時まで町民センター1階で受け付ける。9月1日現在の有権者数は6160人(男2861人、女3299人)。

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