夏休み「地域つながる食堂」盛況 長崎市役所で6回開催、計720人利用 就労支援利用者もスタッフに

子どもたちでにぎわう会場=長崎市魚の町、市役所食堂「ル・シェフ」

 夏休み期間中の土曜に長崎市役所レストランで初めて開かれた「地域つながる食堂」。主催した社会福祉法人恵風会(同市)がまとめた利用実績によると、6回の開催(1回はキッチンカー)で計720人が利用した。企画した同会地域連携部の西田広子部長は「誰でも来ていいよ、という明るい雰囲気を伝えることができたのではないか」と盛況ぶりを分析。協力の輪を広げ、次回は冬休み期間の開催を目指す。
 公益財団法人松園尚己記念財団の助成を受け、7、8月に実施。市内7軒の飲食店が協力し、各回150食程度の弁当を準備した。子どもは200円、大人は400円で販売。複数の種類から選ぶという楽しさも提供した。
 市教委の協力で近隣の小中学校の保護者にメールで紹介したこともあり、8月下旬の開催回はオープン前から行列も。ある母親からは「給食のない期間に開いてくれて助かった」と感謝の声が寄せられたという。
 西田さんによると、初回以降、個人や企業から「手伝いたい」という問い合わせもあり、新たなつながりも生まれた。差し入れられた野菜やお菓子などは、くじ引きの景品などにして来場者にプレゼントした。
 つながる食堂は子育て家庭への食支援に加え、障害者の活躍の場の創出という、もう一つの狙いもある。今回、運営側には市内四つの障害者就労支援事業所の利用者約10人がスタッフとして加わり、受け付けや子どもたちへの声かけ、くじ引きの対応などを担当した。

くじ引きコーナーで対応する事業所利用者(左側)

 「知らない人に声をかけたり、急な質問に答えたり、普段とは違う初めてのことだらけでストレスをためないか不安だった」と西田さん。極力手を貸さずに見守ると、目の前には自分たちで考え、生き生きと動き回る光景が広がった。
 利用者の1人は目を輝かせる。「今までに味わったことがない、別の世界を見ることができてうれしかった」。別の利用者は「たくさんの笑顔を見られたことが一番よかった」と充実感をにじませた。
 「またやりたい」という利用者たちの期待を背負い、西田さんは早くも次回開催に向けて動き始めた。市役所レストランを拠点に、別の地区で「移動食堂」を開く構想も膨らむ。ただ一番の心配は資金面。子どもや障害者を応援する活動を広げるため、もっと地域住民や企業などともつながっていきたい考えだ。

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