外国人材紹介で合弁会社 商船三井と澤山グループ 長崎県の人手不足解消へ

 海運大手の商船三井(東京)と船舶・貿易業の澤山グループ(長崎市)は、外国人材を紹介するジョイントベンチャー(合弁企業)を新たに設立した。フィリピンで長年、人材育成・確保に取り組む商船三井のネットワークと仕組みを生かし、長崎県での人手不足解消を目指す。
 商船三井と澤山グループは100年以上にわたる事業パートナー。商船三井は今年に入り澤山グループの仲介で、再生可能エネルギーや造船関連産業の活性化を図る連携協定を県、長崎市と相次いで結ぶなど、本県との関係性を強めている。
 近年幅広い業種で人手不足が顕在化する中、商船三井と澤山グループは昨年度から県と協力し、外国人材の活用を検討する企業向けセミナーを継続。県内企業の高い関心と意欲を把握し、採用に向けた具体的な動きも見え始めたことから、両社で合弁会社を立ち上げ、人材紹介の事業化に乗り出した。
 商船三井は国内で船員が不足し始めた40年以上前から、フィリピンの人材紹介会社と協力して船員を育成。現在は同社の運航船の船員の6割以上をフィリピン人が占める。近年は船員以外の人材紹介にも力を入れる。こうした経験を生かし、まずは本県に親和性の高い造船や観光分野での人材育成を想定する。将来的な不足が予想される再生エネルギー産業の人材も視野に入れる。澤山グループは本県企業のニーズや意向を調査しながら、人材のマッチングを図る。
 当面は県と連携し、引き続き企業向けのセミナーを通じて、外国人材の受け入れを促す。今後5年間で本県を中心に九州地域で約200人の外国人材紹介を目標とする。長崎新聞の取材に対し、商船三井の向井恒道常務執行役員は「当社のさまざまな事業を支える長崎で地域課題の解決に貢献したい」、澤山商会の中村禎二社長は「人手不足を解決しなくては地域が沈んでしまう。地元の役に立ちたい」とそれぞれ抱負を述べた。

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