【ラグビーW杯】日本代表、初戦の相手はチリ。勝負のポイントになるポジションはスタンドオフ

フランスで開催される「ラグビーワールドカップ2023」には、20チームが出場。まず5チームずつ4組に分かれて総当たり方式の1次リーグを行い、各組勝ち点上位2チームが決勝トーナメントに進む。勝ち点は勝利4点、引き分け2点、負け0点。ボーナスポイントがあるのが特徴で、トライ数4以上で1点、7点差以内の負けも1点が獲得できる。負けた試合でも勝ち点が入る可能性があり、勝利数が同じでも、試合内容によって最終的な勝ち点が変わってくる。

世界ランキング14位の日本はプールDに属し、9月10日にチリ(22位)、17日にイングランド(8位)、28日にサモア(12位)、10月8日にアルゼンチン(6位)と対戦する(ランキングは9月4日現在)。

初戦の相手となるチリは、W杯初出場。アメリカ大陸予選のプレーオフで、前回まで6大会連続で出場していたアメリカ(18位)と対戦し、2戦合計52-51で悲願のW杯切符をつかんだ。大型選手をそろえ、フィジカルの強さを前面に押し出してくるチームだ。

注目選手は、キャプテンを務めるフランカー(FL)/ナンバーエイト(No.8)のマルティン・シグレン選手(ドンカスター・ナイツ/イングランド)、スタンドオフ(SO)のロドリゴ・フェルナンデス選手(セルクナム/チリ/チリ)ら。フェルナンデス選手はスピードと切れ味鋭いステップが持ち味で、アメリカとのプレーオフで決めた6人抜きトライは、ワールドラグビーアワード「トライ・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。

日本は、7月から8月にかけて強化試合を6試合行い、1勝5敗と不安が残る成績。メンバーや戦術を固めきれていない印象がある。前回大会後、新チームの立ち上げ期にコロナ禍が重なったことで土台作りが遅れ、それが今まで響いているようだ。とはいえ大会前に結果を出せなかったことに焦り、気負い過ぎるとミスにつながる。大会を通じて勢いに乗っていくつもりで、ある程度開き直って初戦に臨むしかない。

勝負のポイントになるポジションはSO。大会前最後のテストマッチとなったイタリア戦では、李承信選手(コベルコ神戸スティーラーズ/日本)が先発し、後半から松田力也選手(埼玉パナソニックワイルドナイツ/日本)が出場。2人合わせてペナルティーゴールとゴールキックを6本蹴り、4本外してしまった。キックを確実に決めることは、試合のペースを握る上でも、勝ち点を1でも多く獲得するためにも重要。キックの感覚をしっかり修正して試合に臨んでほしい。

チリはW杯初勝利を挙げるべく、初戦に照準を合わせてくるだろう。チームとしての経験、総合力で上回る日本も油断はできない。W杯4大会連続出場となるFL・リーチマイケル選手(東芝ブレイブルーパス東京/日本)と、フッカー(HO)の堀江翔太選手、3大会連続出場の“笑わないい男”ことプロップ(PR)の稲垣啓太選手(ともに埼玉)ら大舞台の経験豊富なベテランが若手を落ち着かせ、冷静に試合をリードすることを期待したい。

文/佐藤新

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