国内初100キロ超 五島から長崎へ空輸デモ 第2回ドローンサミット 離島、中山間の物流に新たな期待

ドローンを使った日本初の100キロ超の長距離物流デモ飛行があった。五島市から運ばれた「鬼鯖鮨」が上空から投下された=長崎市神ノ島町3丁目

 ドローンの社会実装に向けた自治体や企業の連携イベント「第2回ドローンサミット」は8日、長崎市で2日間の日程を終え、計3858人(長崎県発表)が来場した。最終日は、国内初のドローンによる100キロ超の長距離物流デモ飛行があり、五島市から約1時間かけて特産品「鬼鯖鮨(さばずし)」を長崎市内に届けた。
 デモ飛行は、五島市で固定翼型ドローンを使った配送サービスを展開する企業「そらいいな」が実施した。午前9時20分、作りたての鬼鯖鮨を積んだ3機が同社拠点を出発。同10時20分すぎ、長崎市の神ノ島工業団地に飛来した。上空約25メートルからパラシュート付きの箱を順次投下し、半径10メートルの回収地点を逸脱することなく正確に着地させた。3機は着陸せずに五島へ引き返した。
 馬場裕子副知事と同市出身の俳優、塩田みう氏が待ち受け、試食。馬場副知事は「新鮮でおいしい。(ドローン長距離輸送には)高付加価値の県産品を広く食べてもらえる可能性があり、今後に期待が持てる」と話した。
 デモフライトの模様は、出島メッセ長崎(同市尾上町)のサミット会場で同時中継。同社配送総括責任者の土屋浩伸氏は「いずれ血液検査やPCR検査の検体なども迅速に空輸できるようになる」と述べた。
 同社は豊田通商(名古屋市)の子会社で、昨年5月から五島の離島間で医薬品の配送をスタート。今春から二次離島の個人向け日用品や食品にも対象を拡大した。米国製7機を半径80キロ圏で運用しており、7日時点で試験飛行を含め累計958回、総距離約7万キロの飛行実績がある。
 県によると片道100キロ、往復200キロに及ぶドローン物流の実証飛行は国内で初めて。実用化されれば、離島や中山間を含め県内全域での新たな物流スキームの構築も期待できる。


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