地球沸騰化

 暑い暑いと、まるで誰かと競争でもしているみたいにこの夏は何回も書いた。9月も3分の1近くが過ぎ、朝晩は少しずつ暑さも和らいで…と書きたいところだが、日中の最高気温は相変わらず30度を超えている▲もちろん暑かったのは長崎だけでも、日本だけでもない。一昨日の外信面に〈6~8月の世界の平均気温が16.77度で、観測史上最高だった〉との記事があった▲「16.77」は、数字だけ見れば意外に低いように錯覚しそうだが、南半球は日本と季節が反対だし、おそらくこの「平均値」には、北極や南極や、かなりの高地も勘定に入っている▲国連のグテレス事務総長は、この世界的な暑さを「地球沸騰化の時代」と表現した。「温暖化」の段階はとっくに通り過ぎた-との意味が込められているのだろう。ちなみに、英語では〈グローバル・ボイリング〉と言うらしい▲煮立った鍋の中で、例えばタマゴの代わりに地球が茹(ゆ)だっているのを思い浮かべてみた。漢字で正しく書けるか、と一瞬不安を感じる「沸騰」に比べて“英語版”が妙にしっくりくる▲東日本の記録的な雨のニュースがテレビで続いている。長崎の好天からは見当がつかない。日本は狭いようでも広くて、しかし、地球はそんなに大きくない…不思議な気分で画面に向かっている。(智)

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