【データで見える最強選手】一発狙いの引っ張りと率優先の流し打ち 吉田は理想的なスプレーヒッター!?

現代のベースボールを語るうえで欠かせないのがデータ。膨大なデータを使えば、あらゆる事実が見えてくる。打者の特徴を表す要素の一つでもある引っ張りと流し打ち、それぞれのメリット、デメリットとは何か。その傾向を探る。

プルヒッターとは、右打者なら左側へ、左打者なら右側へ力強く引っ張る打者のことを指し、特にパワーが自慢の打者に多く見られる傾向がある。対して、スプレーヒッターとは、右へ左へと広角に打ち分けることができるバッターのことを表す。プルヒッターの典型例がフィリーズのカイル・シュワーバーで、今季はリーグ3位の42本塁打を放っているものの、打率は.196。そして、引っ張り率はレイズのアイザック・パレイデス(53.0%)に次ぐ52.6%となっている。

引っ張り率(Pull%)トップ5
1 アイザック・パレイデス(TB) 53.0% 打率.255 本塁打29
2 カイル・シュワーバー(PHI) 52.6% 打率.196 本塁打42
3 マックス・マンシー(LAD) 52.3% 打率.207 本塁打34
4 オジー・オルビーズ(ATL) 51.1% 打率.266 本塁打29
5 カル・ローリー(SEA) 50.8% 打率.234 本塁打27

シュワーバーをはじめ、プルヒッターには、打率よりも本塁打を優先する打者が多いなか、プルヒッターでも高い打率を残しているのが、引っ張り率46.1%ながら打率.314、38本塁打のムーキー・ベッツ(ドジャース)だ。

パワー自慢が揃うプルヒッターに対し、流し打ちを得意とする打者には巧みに打率を残す打者が目立つ。その典型例が、流し打ち率32.5%でリーグ6位のルイス・アライズ(マーリンズ)だ。今季は6本塁打ながら打率.349と高い数字を残しており、一時は夢の4割打者にも迫っていた。

流し打ち率(Oppo%)トップ5
1 ボー・ビシェット(TOR) 40.8% 打率.315 本塁打18
2 マイルズ・ストロー(CLE) 36.2% 打率.234 本塁打1
3 ブライソン・ストット(PHI) 34.3% 打率.292 本塁打14
4 ポール・ゴールドシュミット(STL) 33.4% 打率.273 本塁打23
5 ブランドン・ニモ(NYM) 32.8% 打率.262 本塁打23

引っ張りと流し打ち、どちらにもメリットとデメリットはあるが、その両方のメリットを兼ね備え、広角に打ち分けることができるスプレーヒッターの理想型が、レッドソックスの吉田正尚だ。流し打ち率(Oppo%)31.0%、引っ張り率(Pull%)34.1%と、左右で30%を超えており、打率も.290という高い数字を残している。かと言って、パワーがないわけではなく、この数値で15本塁打以上を放っているのは、今季のメジャーリーグで吉田しかいない。

ハイレベルな地区に所属しながらも理想的なスプレーヒッターとして、ルーキーイヤーから結果を残している吉田正尚。今度は左右どちらに打球を放って投手を攻略するのか、吉田の打席からますます目が離せない。

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