聞くも涙、話すも涙 KAIRI約10分間の〝独演会〟 スターダム最後の試合へ決意表明

元WWEの〝海賊王女〟KAIRIが12日、都内で涙の決意表明を繰り広げた。無期限休業を前に6人タッグ戦で出場するスターダム10・9愛知ドルフィンズアリーナ大会の会見に出席。岩谷麻優、高橋奈七永と組み、葉月&コグマ&飯田沙耶と対戦するが、同席選手に涙を流させ、自身も感涙した。

KAIRI壮行試合と銘打たれた一戦だが「ただのサヨナラ、アリガトウの試合にはしたくない」とキッパリ。相手、奈七永の意気込みを受け止めた後「私は話が長いので、なるべく手短に」と断りつつ、約10分間に渡って思いを語り続けた。

飯田に「さっき自分がなぜここにいるのかと、言っていたと思うけど、私は全くそう思わない。数カ月前、控室で隣だったよね。試合が終わって声かけたの覚えてる?赤ん坊のように泣いたよね」と語りかけた。「そうやってくしゃくしゃになる位に悔し涙出せるのは、それだけ一生懸命やっているから。見てくれているファンは絶対いるから。この試合で伝説の試合にしようよ。最後じゃないから」と諭すように話すと、飯田の瞳から涙が流れた。

そして「葉月」と続けたKAIRI。「この場にいることは、言葉には言い表せないほどうれしい。自分が選手会長だった時、一気にたくさんの選手、大好きな仲間が離れてしまって。コグマと葉月は15歳で最初に来た時からずっと一緒にやってきたよね。大好きな奈七永さんも一度離れて、私もアメリカに行った。一緒にこのカードを実現できるのがうれしい」と喜びを語った。

しかし「だけど、ずっとあの頃、一緒にいたからこそ、葉月もコグマもこんなもんじゃないと思う」と苦言を呈したKAIRI。「当時できるまで一緒に頑張っていたの覚えているよ。コグマの方が器用で葉月が不器用だったの覚えているよ。だから、この1年半、コグマも葉月も見ていて、もどかしかった。もっとすごくて、ベルトにふさわしい器を持っていると思う。それをこの試合で、どんだけやられてもハートも体も壊れないから、ぶつけ合おう。もちろん私たちも容赦しないから。壮行試合じゃなくて、見ている人の心に刻む試合を、必ずできると思う。私も残り僅かな時間だけど、最高のパフォーマンスを出せるよう準備するから。よろしく」と呼びかけると、葉月は瞳をうるませた。

続けて奈七永に視線を向けたKAIRI。「長いですよね?じゃあ手短に」と話を続けた。「奈七永さんと(安納)サオリちゃんは私がスターダムに呼び込んだ。その二人がのびのびと明るくプロレスして、リングで輝いている姿を見られて本当にうれしい」と話したところで、感極まって涙を流した。

「二人とも悩んでいる時期知っているし。プロレスラーだけじゃないけど、壁にぶつかる時期がある。私もそう。奈七永さんもサオリちゃんは刺激を、生きる希望を与えていると思う」と続けると、奈七永も大粒の涙を流した。

「だから、世界中どこに行ってもつながっているんです。プロレスが大好きな気持ち、スターダムが大好きな気持ちを皆が持ち合わせている。私も持ち合わせている」と続けたところで「何を言っているか分からなくなりました」と苦笑交じりに告白し、会場の笑いを誘った。

KAIRIは気を取り直し「すいませんね。私は虚勢張ってますけど、弱いところもある。皆を尊敬しているし、学ぶところはたくさんあった。私ももっともっと上を目指して頑張る。待ってろよ」と、話し始めてから約10分間の〝独演会〟を締めくくった。

8月上旬に米専門サイトで米WWEへの復帰が報じられたKAIRI。次なる航海へ、節目の日は近づいているようだ。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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