横浜ロイヤルパークホテル開業30周年 共に歩んだホテルマンの思い

開業前の内覧会で報道陣に公開された最上階のラウンジ=横浜市西区、1993年8月25日

 横浜・みなとみらい21(MM21)地区にある横浜ロイヤルパークホテルは15日、開業30周年を迎える。超高層ビル・横浜ランドマークタワー(高さ296メートル)の上層階に位置。開業当時は「世界で一番高いホテル」として注目を集めた。これまで各国の首脳や観光客らをもてなし、開業時からの宿泊者数は約940万人に上る。2025年には全面改装に伴い開業以来初の全館閉館を控える。

 1992年。パシフィコ横浜(横浜市西区)では、開業を翌年に控える同ホテルの採用試験が行われた。

 この頃のMM21地区と言えば、パシフィコやヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル、横浜美術館、建設中の横浜ランドマークタワーがあった程度。2期生として新卒で入社し、今年で同ホテルに勤めて30年の佐藤善史さん(53)は、当時の状況を鮮明に記憶している。

 「試験後、外を歩いていると、50階ぐらいの建設中のランドマークタワーが見えた。私はホテルのパンフレットに描かれたイラストと照らし合わせながら、『未来はこうなるんだ』と夢を膨らませた。『新しいホテルを自分たちの手で作っていきたい』という思いがその時、強く芽生え、入社を決めた」

 横浜ランドマークタワー完成までの間、横浜ロイヤルパークホテルの従業員向け研修は、体育館などを借りて実施した。来館者向けに、当時は船で横浜・八景島シーパラダイス(同市金沢区)まで行くサービスを展開しており、船に乗っての研修もあったという。

 1993年7月16日、ランドマークタワーがオープン。2カ月後の9月15日、同ホテルが開業した。603を数える客室は52~67階に位置し、眺望は抜群だ。全客室ともゆったりとくつろげるインターナショナルサイズで展開。和、洋、中のレストランをはじめ、最上階(70階)のスカイラウンジなど、高層階には飲食施設も設けた。

 開業当時、日本一の高さを誇る超高層ビル内にオープンしたホテルとして多くのメディアに取り上げられたこともあり、連日長蛇の列ができた。現在マーケティング部長を務める佐藤善史さん(53)は2期生として入社。同期だけで約200人いたといい、宿泊部フロント担当に配属された。

 「ホテルの雰囲気は華々しかった。JR桜木町駅からの『動く歩道』も、ものすごい人だった」。あまりの注目度と人気ぶりに、自身に楽しむ余裕はなかったという。

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