NASA小惑星探査機OSIRIS-RExのカプセル地球帰還が近付く 大気圏再突入は9月24日夜

アメリカ航空宇宙局(NASA)は9月11日付で、小惑星探査機「OSIRIS-REx」(オシリス・レックス、オサイリス・レックス)の回収カプセルを地球に帰還させるための重要な軌道修正操作が実施されたことを明らかにしました。小惑星「ベンヌ」(101955 Bennu)から採取されたサンプルを収めた回収カプセルは、日本時間2023年9月24日に大気圏へ再突入する予定です。【2023年9月13日12時】

【▲ 小惑星ベンヌの表面に向けて降下する小惑星探査機OSIRIS-RExの想像図(Credit: NASA/Goddard/University of Arizona)】

「アメリカ版はやぶさ」とも呼ばれるOSIRIS-RExは2016年9月に打ち上げられ、2018年12月にベンヌに到着。周回軌道上からの観測を重ねた後の2020年10月に表面からのサンプル採取が実施されました。2021年5月にベンヌを出発したOSIRIS-RExは、カプセルの地球帰還に向けて飛行を続けています。

ベンヌ出発から2年が経った2023年7月26日には軌道修正操作「TCM10」(TCMはTrajectory Correction Maneuverの略)が実施され、OSIRIS-RExは軌道修正操作前よりもわずかに地球へ近付く軌道に入っていました。

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【▲ OSIRIS-RExのTCM10(JUL. 26)から地球フライバイまでの飛行経路を示した図。今回実施された軌道修正操作はTCM11(SEP. 10)で、必要に応じてTCM12(SEP. 17)が実施された後に回収カプセルを分離する(CAPSULE RELEASE)。その後、探査機本体は再突入軌道を離れる操作を実施し(SPACECRAFT DIVERTS)、カプセルは地球の大気圏へ再突入する(CAPSULE EARTH ENTRY)(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)】

NASAによると、2023年9月10日に軌道修正操作「TCM11」が実施された結果、OSIRIS-RExは地球の大気圏へ再突入する軌道に入りました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」の場合と同様、OSIRIS-RExの回収カプセルには自分で飛行する能力がありません。そのため、回収カプセルを地球に帰還させるには、OSIRIS-REx自身が一時的に大気圏へ再突入する軌道に入る必要があります。

回収カプセルのOSIRIS-RExからの分離は日本時間2023年9月24日19時42分、大気圏再突入はその4時間後の同日23時42分(米国東部夏時間同日10時42分)に予定されています。カプセルの回収予定地点は米国ユタ州ソルトレイクシティ南西のユタ試験訓練場です。なお、軌道の最終調整が必要と判断された場合には、9月17日に再び軌道修正操作が行われる可能性があります。

【▲ 米国ユタ州の試験訓練場で実施されたカプセル回収のリハーサルの様子。現地時間2023年7月19日撮影(Credit: NASA/Keegan Barber)】

一方、OSIRIS-RExの探査機本体は回収カプセルの分離から20分後の日本時間2023年9月24日20時2分にエンジンを噴射して、大気圏に再突入する軌道から離脱します。OSIRIS-RExはカプセル分離後のミッション延長がすでに決まっており、ミッション名を「OSIRIS-APEX」(オシリス・アペックス、オシリス・エイペックス)に改めた上で、2029年に小惑星「アポフィス」(99942 Apophis)へ到着して周回探査を実施する予定です。

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小惑星「リュウグウ」(162173 Ryugu)から約5.4gのサンプル採取と地球帰還に成功した「はやぶさ2」(現在は拡張ミッション「はやぶさ2#」)に続き、当初予定されていた60gを上回る量のサンプルを回収できたとみられているOSIRIS-RExのカプセル帰還が注目されます。

Source

  • Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center
  • NASA \- OSIRIS-REx Adjusts Course to Target Sample Capsule’s Landing Zone

文/sorae編集部

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