地上波ドラマで30年ぶりに主演の後藤久美子、武井咲とダブル主演! 松本清張ドラマSP「顔」が2024年新春に放送

テレビ朝日系では、2024年新春に、松本清張ドラマスペシャル「顔」(日時未定)を放送。30年ぶりにドラマ出演を果たす後藤久美子が、武井咲と初共演にしてダブル主演を務めることが決定した。本作の制作発表会見が行われ、後藤と武井がそろって登壇した。

「顔」は、松本清張が1956年に発表した同名短編小説が原作。これまで幾度となく実写化されてきた不朽の名作を、脚本家・浅野妙子が現代版へとアップデートし、令和の今にふさわしい、今だからこそ描けるテーマと人物設定で、老若男女が楽しめる至高のエンターテインメントドラマとして紡ぐ。武井は「殺人犯だから」という理由で顔を出さないことを条件にアーティスト活動をする覆面アーティスト・井上聖良を演じ、殺人を犯した聖良が現場から立ち去った姿を唯一目撃した人権派の弁護士・石岡弓子に後藤が扮(ふん)する。

会見冒頭、後藤は「今回、武井咲、後藤久美子の2人でどんなドラマが作れるか、どんな物語に仕上げたらいいか、さまざまな意見が出る中で、松本清張『顔』に決まりました」とあいさつするとともに、「内容はかなりアレンジされています。小説の柱となる部分、骨組みの根本的な骨組みを生かして膨らませた物語です。松本清張ファンはたくさんいらっしゃいますよね。でも、浅野さんがそういう方々の期待を裏切らない物語として、しっかり脚本を書き上げてくださいました。ここには咲ちゃんと私だけですが、素晴らしい俳優勢がチームに加わっておられます。ドラマを見て、それぞれの役柄を通して、人として生きていく上での喜び、苦しみ、そんなことを視聴者の皆さまと共有できたらいいなと思っております」と、30年ぶりの主演作に自信を見せる。

続く武井も「私が演じるのは、殺人を犯した過去のある覆面アーティストという役で、今回、後藤さんとご一緒させていただけることになり、それだけでも喜びや緊張、いろいろな気持ちがあったのですが、『黒革の手帖』(テレビ朝日系)でもたくさんの方に『このドラマを見た』というお声がけいただくことが増えて、私自身もすごくそれがうれしくて。今回また違った松本清張の作品で、アップデートした『顔』という物語が、たくさんの方に伝わったらいいなと思っています」と作品への期待を高めた。

後藤にとっては今回初めての清張の作品になるが、その印象を聞かれると「重いですね」と述べ、「しっかり読み込まないと理解できない小説を書く作家だなと思っています」と語りながら、今回現代に合わせてアレンジされた脚本については「非常にうまく現代風にアレンジされていて、『こういうことってありえるよね』という、日常生活みたいなものも入っていて、サスペンスもある。非常にうまく書かれていると思います」と伝えた。

武井は「黒革の手帖」以来の清張作品への挑戦となるが、「『黒革の手帖』ではとても気持ちのいい役柄で、『悪女ってこんなにいい役だったんだ!』という気持ちだったのですが、今回はずっと息が苦しいよう役柄で、自分がためているものを、後藤さん演じる弓子に出会い、それがどう変化していくのかを作品を通して思いっきりぶつけたいなと、今もすごく我慢しながら日々を過ごしています」と明かした。

加えて、後藤が絶賛した浅野氏の手掛ける脚本に関しても、「覆面アーティストという役柄から、現代版にアップデートされて描かれていると分かっていただけると思うんです。私もテレビを見ていて、覆面アーティストを初めて見た時に『こういうのができる現代になったんだ』という驚きもあって、その役がまさか自分に来るとは思わなかったので驚きでしたね。昔の柱の部分は残したまま、『顔』という強烈なタイトルと、それを象徴する新しいストーリーに仕上がっていって、すごく気持ちのいいお話だなと感じました」と、その魅力に触れた。

今回、後藤は弁護士、武井は覆面アーティストという役を演じるが、演じるにあたって、後藤は「動画で弁護士の方たちが議論するような映像を見たり、弁護士事務所に見学に行ったりしたのですが、弁護士と言っても人それぞれですし、どんな案件を扱うかでまた違ってきます。監督からも『弁護士としての弓子がどうこうというより、人間的にこういう人生を歩んできて、このような性格で、このように仕事を進める女性だ』というアドバイスをいただいたので、それをしっかり受け止めて、現場ではニュートラルな状態で臨んで監督に指示していただけたらと思っています。共演者の方たちと実際に会話をつなげて作り上げる感じ、それがやっとできてうれしいです」と役づくりの裏側を明かす。

武井も役づくりはかなり悩んだようで、「松本清張ならではのいろいろな感情を持った独特な人物なので悩んでいたんです。『どうしようかな』と自分でもイメージがつかない部分があったのですが、藤田明二監督とお話させていただいた時に『ボーッとしていてほしい』と最初におっしゃっていただいてから、それが自分の中でもすごくストンと落ちてきたところがあって。私も後藤さんと同じように、その環境に立ってみないと分からないものがたくさんあると思っているので、そこのリアルな部分を大事にしていけたらいいなと思って、今とても丁寧に撮影できていると思っています」と試行錯誤していることをうかがわせた。

そんな後藤と武井は、ともに久しぶりのドラマ出演。「役を演じる上でいつスイッチが入ったのか?」と記者から質問されると、後藤は少し悩んだ後に「台本を読み始めた時かな。台本を読み込んで、ほぼほぼセリフが頭に入った時かと思います。現場で実際に演じることで入っているんだと思います」と答えると、武井も「自分では『よしやるぞ』と思っていても、現場に入った途端に崩れてしまうのではないかという緊張もあって、クランクインするまではどこかふわふわしていて。『お願いだから!』と別の自分が頼んでいるような感じで、現場に入るまではずっと緊張していましたね」と明かしながら、「今回は歌も歌う役だったので、また別のところでもプレッシャーもありましたが、『こうしたいな』という自分のイメージを形にするために、たくさんの時間もかけられました。最高のスタッフさんと最高のキャストの皆さんがいらっしゃって、現場に入ったらホッとするようなところがありました」と安心した表情を見せた。

実に30年ぶりのドラマの出演となる後藤だが、今回の出演にあたっては「30年というと、おぎゃあと生まれた赤ちゃんが立派な大人に育つ時間だと思うのですが、これだけ長い間というのも感覚としてはあっという間に過ぎ去った日々というか。不安やら楽しみやらいろいろな気持ちが渦巻く中で『まだまだ時間があるから大丈夫』と思いきや、もうクランクインでした(笑)」と振り返りながら、この作品をやると決めた時は「うれしさと不安の両方でした」と率直な心境も吐露。「『どんなものが作れるのかな』というワクワクする気持ちと、『できるのかな』という気持ちで、松本清張の原作を深く受け止めてやっていこうと思います」と意気込みを新たにする。

そんな中、出演を決めた理由に関して「非常に私事になりますが、私、オスカープロモーション所属歴40年なんです。でも、ここ何年も幽霊会員状態でして(笑)。いつも事務所に遊びに行くと、子育て相談所みたいな感じになっていたんですね。このあたりで、恩がある会長と社長と、もっと仕事の話で盛り上がる場を持てたらいいなと思って、仕事をしようと決めたわけです」と意外な理由を告白し、取材陣を驚かせた。

後藤と初共演となる武井も、およそ3年ぶりのドラマ出演。「自分の感覚的には3年経っていた気がしないほど、あっという間に過ぎていて。それでも、やっぱり久しぶりに現場に立つと感覚が戻ってきて、それが心地よくて。スタッフさんや近くにいる方にどんどん話しかけちゃったりしながら、『現場が楽しいな』と思いながら過ごしています」と、久々のドラマ撮影の現場に身を置いてみての充実感を漂わせた。

久々のドラマで、しかも共演するのは大先輩の後藤とあって「本当にうれしいです。以前、コマーシャルの現場で海外に行った際に後藤さんにお会いさせていただいたことがあって、その時以来だったので、今でも心臓の音が聞こえるぐらい緊張しています」と本音がこぼれつつ、「温かみのある後藤さんのまとったオーラをすごく心強く感じていて、神のような存在なんですけど、勝手ながら家族のような温かい気持ちにさせていただいただいています」と大切そうに言葉を紡いだ。

武井からの言葉に対し、後藤も「うれしい!」と笑顔を見せながら、「第一印象が衝撃的だったので。12年ぐらい前にお会いした時に、スタッフの間をかき分けて、颯爽と歩いて向かってくる咲ちゃんがキラキラしたオーラを放っていて、『まあ、すてきなお嬢さん! 将来が楽しみだな』と思っていたんです。そして今回お会いすることができて、一緒にドラマを作ることができてとてもうれしいです。今回は落ち着いた感じで輝きが増していて、それもまたうれしいです」と初共演ながら、武井を絶賛する場面も。

既に、“相思相愛”の後藤と武井。撮影が続いていく中での楽しみを聞かれると、後藤は真っ先に「(武井の)家族の写真を見せてほしい。いつ聞こうかな、いつ聞こうかなと待っています」と即答。すると「たぶん(現場に)出てくると思います。後藤さんがそのようにおっしゃっていたら、みんなそろって来ると思います」という武井の返しに、後藤は「楽しみ!」と喜びを爆発させる。そんな武井は「私は今この瞬間をかみ締めているのですが、お芝居ではないところでどんな子育てをされているのか、それはたぶん皆さんも気になると思うんです。ミステリアスなプライベートのお話をたくさんできたらなと思っています」と笑顔を見せていた。

会見の最後には、あらためて2人からメッセージが。武井は「今、本当にスタッフ一丸となって丁寧に撮影しております。後藤さんとご共演させていただける夢のような作品で一瞬一瞬をかみ締めながら撮影を頑張りたいなという気持ちでいっぱいです。今この瞬間も緊張でいつも通りにいかないところがあるのですが、たくさんの人に楽しんで見ていただける、すてきな作品に仕上げたいと思っていますので、皆さまよろしくお願いいたします」と口にする中、後藤は「武井咲と後藤久美子の共演作、第1ラウンドです。よろしくお願いします」と力を込め、会見を締めくくった。

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