吉永小百合「(大泉洋に)こんなことまでしゃべって大丈夫かな?と思っていた」『こんにちは、母さん』長崎・五島特別上映会レポート

時代とともに家族の姿を描き続けてきた山田洋次監督が、主演に吉永小百合、大泉洋を迎えて、変わりゆくこの令和の時代に、いつまでも変わらない母の愛を描く『こんにちは、母さん』が公開中。9月17日、長崎・五島列島に自生する椿を核に地域活性を目指す「五島の椿プロジェクト」の特別企画として、五島市・福江文化会館で本作の上映会と舞台挨拶が行われ、同プロジェクトのサポーターを務める吉永小百合が登壇した。

2011年に初めて五島を訪れて以来、五島ファンを公言する吉永。19年に公開された映画『最高の人生の見つけ方』の撮影の際にはロケ地が長崎市に決まると、五島列島での撮影を製作陣に提案したというエピソードも。その後、五島の椿プロジェクトにも賛同し同プロジェクトのサポーターを務めることになった。そして今回、2004年に福江中央シネマが閉館して以来19年間、映画館がない五島市民の方々にスクリーンで最新の映画を楽しんでもらいたいという吉永の想いから、9月1日に封切られたばかりの主演最新作を上映する運びとなった。

五島の方々と約1年ぶりの再会となった吉永は「前作に続いてまたこうやって五島の皆様に、上映会という形でお会いできて本当に嬉しいです」と今回の再訪への喜びを語った。その後、質問は映画の内容に。MCから吉永が演じた福江のキャラクターについて聞かれた吉永は「今の時代を前向きに生きるお母さんです。今回ミシンで足袋を縫うシーンがあるのですが、そのシーンは一生懸命練習したので、ぜひぜひそのシーンはみなさんにしっかり見てほしいと思います」と自身の役どころについて触れながら、注目ポイントを紹介した。

今回の現場での山田監督の演出については「山田組は号外というものが出るんです。撮影当日にセリフが変わったりして、シーンが膨らんでいくんですが、今回もそういった場面があって、こうしたらもっと良くなると現場で考え続ける監督の姿勢は、初めて映画に出させていただいた時から変わりません」と山田監督と長い時間、ともに映画を作り続けてきた吉永だからこそ語れる山田監督の一面を語った。

親子役を演じた大泉洋とのエピソードを聞かれると「撮影に入る前に大泉さんが小さい頃のお写真を見せていただいて、撮影に臨みました。その写真がかわいらしくて、本当の子供のように感じていました」と撮影を振り返った。また、大泉が聞き上手だったため少し困ったことがあった様子。「プライベートなこととか思わずしゃべってしまったんですけど、こんなことまでしゃべって大丈夫かな?と思ってました」と明かし、本当の親子のような吉永と大泉の仲の良さが垣間見えるエピソードを語った。

ここで会場の観客に向けて本作のメガホンを取った山田洋次監督と吉永演じる福江の息子・昭夫を演じた大泉洋からビデオメッセージが。「五島はとても懐かしい場所で、いまから47、8年ほど前ですかね、寅さんの撮影で行きました」と山田監督が撮影当時の想い出を振り返ると、一方の大泉は「この映画には本当に吉永さんの魅力が詰まっています。もちろん僕の魅力も詰まっているわけですけど」と茶目っ気たっぷりにコメントし、会場が笑いで包まれた。さらに、五島の名物である五島うどんにも触れ「小百合さん、五島うどんをたくさん食べてきてください!」と最後まで大泉節を交えながら、会場にいる吉永にエールを送った。

実際に吉永が愛用しているという五島の椿の化粧品をはじめとする豪華景品が当たる抽選会の催しを行うなど、観客との交流を深めた吉永。締めの挨拶では「みなさんの胸の中にそれぞれお母さんがいらっしゃると思います。映画を観てご家族のこと、お母さんのことを感じてください」と映画について語り、最後は「私も映画の仕事を頑張って、次の映画でもまた、この場所に戻ってきたいと思います」と今後の俳優としての意欲とともに五島への再訪を約束し、舞台挨拶は大盛況のうちに終了した。

『こんにちは、母さん』
2023年9月1日(金)より、全国ロードショー
監督・脚本:山田洋次
原作:永井愛「こんにちは、母さん」
脚本:朝原雄三
出演:吉永小百合 大泉洋 永野芽郁 寺尾聰 宮藤官九郎 YOU 枝元萌
配給:松竹

【ストーリー】大会社の人事部長として日々、神経をすり減らし、家では妻との離婚問題、大学生になった娘との関係に頭を悩ませる神崎昭夫(大泉洋)は、久しぶりに母・福江(吉永小百合)が暮らす東京下町の実家を訪れる。「こんにちは、母さん」しかし、迎えてくれた母の様子が、どうもおかしい…。割烹着を着ていたはずの母親が、艶やかなファッションに身を包み、イキイキと生活している。おまけに恋愛までしているようだ!久々の実家にも自分の居場所がなく、戸惑う昭夫だったが、お節介がすぎるほどに温かい下町の住民や、これまでとは違う“母”と新たに出会い、次第に見失っていたことに気付かされていく。

©2023「こんにちは、母さん」製作委員会

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