ALS患者の災害対策に遅れ、東邦大学など対策呼び掛け

東邦大学医学部の平山剛久講師、狩野修教授らの研究グループは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の災害に対する備えが不十分であることを患者会へのアンケート調査から明らかにした。

東邦大学によると、研究グループには東邦大学のほか、愛知医科大学、徳島大学、東京都医学総合研究所、東京都立神経病院、京都大学iPS細胞研究所、滋賀医科大学、名古屋大学、東北大学、仙台西多賀病院の研究者、医療関係者も加わっている。

研究グループが2022年、全国のALS患者60人とその介護者55人を対象にアンケート調査を実施したところ、ALS患者の89%が人工呼吸器を装着していたが、回答者の86%が「災害への備えができていない」と答えた。さらに、電話が使用できなくなった場合に回答者の12%は代替の通信手段を持っていなかった。搬送してもらう人員を確保しているのは30%に届かず、25%は食料や飲料を用意していない。停電時には人工呼吸器装着者の70%が24時間以内の電源を喪失する可能性がある。

ALSは体を動かすのに必要な筋肉が徐々に弱くなり、思うように動かせなくなる難病。研究グループはALS患者の防災意識を高め、十分な準備を進めるためには、地方自治体や学会の協力が不可欠だとして連携した対応を呼び掛けている。

論文情報:

【Journal of Clinical Neuroscience】The necessity to improve disaster preparedness among patients with amyotrophic lateral sclerosis and their families00201-1/fulltext)

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