The Good-Bye 40周年【ライブレポート】野村義男・曾我泰久・衛藤浩一の時を超えた魅力  初の自己ベスト盤「Oldies But Good Buy! VOL.III」を引っ提げて、グッバイが魅せた! 聴かせた!

結成40周年を迎えたThe Good-Byeが東名阪のツアーを敢行

今年、結成40周年を迎えたThe Good-Bye。9月6日にはメンバー自らの選曲による新録音セルフカバーアルバム『Oldies But Good Buy! VOL.III』をリリースし、東名阪3ヶ所でのツアーを敢行。その最終日となる東京、昭和女子大学 人見記念講堂での公演が9月10日に開催された。

会場に入ると、開演を待ち兼ねた多くのファンが集まり、著名人からのお祝いの花が多数飾られ、記念ライブらしい華やかな雰囲気がホールを包み込む。開演五分前のBGMに、デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの「カモン・アイリーン」が流れると、いよいよオープニング。会場が暗転し、アカペラが流れ出すと、満員の客席は早くも総立ちになり、野村義男、曾我泰久、衛藤浩一の3人が、5枚目のアルバム『FIFTH DIMENSION』のジャケットと同じ黒ベースのミリタリールックに身を包み入場。そしていきなりスタートした曲はファーストアルバム『Hello! The Goo-Bye』のオープニングを飾るロックンロール「Take off〜赤いポルシェ〜」。初めてメンバー全員で作った記念すべき楽曲で、今回のアルバムの冒頭にも収録されているナンバーだ。

続いて「涙のティーンエイジ・ブルース」「モダンボーイ狂想曲」と初期のシングルヒットが立て続けに演奏され、デビュー曲のB面「DANCE×3」ではミラーボールが華やかにステージを照らす。序盤のナンバーはまさしく彼らが影響を受けた初期ビートルズスタイルのマージービート。野村&曾我のツインボーカル&ツインギターも絶好調で、ステージ両袖に分かれてギターを弾き合うパフォーマンスでは、かつてのギター小僧、音楽少年がそのまま大人になったかのような瑞々しい演奏を聴かせてくれた。

「ようこそ!」
「年季の入ったお嬢さんたちを少女に戻すために帰ってきました!」

と野村が語れば、会場を埋めた女性ファンたちが一斉に大きな拍手で迎える。

「今日はカバンにたくさんのThe Good-Byeの名曲を詰めて来ていますので、最後まで楽しんでいってください!」

1曲ごとに曲調が変わるThe Good-Byeの音楽性の幅広さ

4作目のシングル「YOU惑-MAY惑」、8作目の「TWO NIGHTS」とノリのいいナンバーが続き、後者でリードをとった曾我が、「ようこそいらっしゃいました!」とご挨拶。2曲続けてシングルのA面を演奏したことについて、「(自分たちは)B面やアルバム曲の方が、人気が高いバンドなんです」と話せば、これに続く曲はファーストアルバムに収録されている「昨日まではFunny Boy」。これは2013年に他界したベースの加賀八郎の作詞・作曲によるモータウンビートのポップチューンだ。

続いて曾我の作詞・作曲「イマジネーション・ブルー」では、曾我自身が少年のように瑞々しい、当時と変わらぬボーカルとエッジの効いたギターソロを聴かせ、「Midnight Train」では野村が速弾きを披露。さらにボ・ディドリー風の「DOLL」と、中盤は1曲ごとに曲調が変わり、The Good-Byeの音楽性の幅広さを改めて感じさせてくれた。

ドラムの衛藤がボーカルをとる「花のお江戸は華盛り」を終えると、「めでたいねー!」という元気いっぱいの衛藤のMCに続き、3人がステージ前列に横並びとなり、野村がアコースティックベース、曾我がアコギを抱え、衛藤がウクレレを持っての、3人だけのアコースティックパートに。このコーナーの主役はもちろん衛藤。このリハーサルに4日かけ、初日はリハなのに大緊張したとか、まるで10代のアマチュアバンドのように初々しくややテンパリ気味の衛藤と、それにツッコミを入れつつ温かく見守る野村&曾我の掛け合いに、会場は爆笑の連続。この気取りのなさとメンバーの仲の良さもThe Good-Byeの魅力だ。

4人4様の嗜好が混じり合った、The Good-Byeならではのサウンド

衛藤のメインボーカルで2曲を歌い終えた後、曾我が「ここで、加賀八郎の歌を歌います」というMCに続き、ドリーミーなオールディーズ風ナンバー「Going Home」に。さらにスペイシーな名曲「浪漫幻夢」と続く。ここからはメンバーの多彩な音楽性が垣間見えるナンバーが連続し、生来の洋楽好きである野村、ビートルズ狂の曾我、シティポップ的な感性を持つ衛藤に、泥臭いアメリカンロック好きの加賀と、4人4様の嗜好が混じり合った、“The Good-Byeならでは” のサウンドが次々と繰り出されていく。

サンバのリズムに乗り、彼らのステージではお馴染みの「Go to the ぱらだいす」がスタートすると、ラスタカラーのライティングがステージを照らし、会場もラララ… の大合唱。そのままメンバー紹介へと突入する。

ツインキーボードの1人野津永恒と、バイオリンの加賀谷綾太郎、日高隼人はインストユニット「sources」のメンバー、もう1人のキーボードはスターダスト☆レビューのサポートメンバーでお馴染みの添田啓二。添田はThe Good-Byeが青山円形劇場で1週間のライブを行った際に、大学生キーボードで参加したのが初のプロステージだったというエピソードを披露。さらにベースの和佐田達彦は、加賀八郎のストラトキャスターを抱えての演奏であることを明かした。

会場のライトが全開すると、男性と女性に分かれてのコールがスタート。野太い男性客の雄叫びが会場を支配し、意外にも同性のファンが多いことを証明した後は、女性ファンからは、アイドル時代の声援と変わらぬ絶叫が響き渡り、メンバーも大興奮。続く「ちょっと待って」では、バイオリンの2人が舞台と袖を出たり入ったりしながら、独特の振り付けで客席を沸かせた。

そして、本編最後の曲「悲しきRADIO GIRL」を歌い終えると、野村と曾我が腕を組んでスキップしながら退場していく姿に、ファンも笑いと歓声が入り混じった声援を送った。40年前から変わらぬ仲良しぶりは、“ヨッちゃん” と “ヤッチン” の姿そのものであった。

アンコール2曲目は、記念すべきデビュー曲「気まぐれONE WAY BOY」。全23曲、2時間半に渡るステージを終えた彼らは、「グッバーイ!」の挨拶とともに、再会を約束して、華やかで楽しい40周年の記念ライブを終えた。

数多く歌われた「Oldies But Good Buy! VOL.III」からのナンバー

もちろん、今回のセットリストには、前述の最新アルバム『Oldies But Good Buy! VOL.III』からのナンバーも数多く歌われているが、アレンジは当時のままであり、それを今のプレイで聴かせてくれるのが、今回のライブである。その演奏を聴けば、40年の時を経て、当時に戻れるとともに、ミュージシャンとして大きく成長した彼らが、現在の力量で幾多のナンバーを披露してくれることで、それぞれの楽曲のエターナルな魅力と、彼らの高い演奏力が改めて体感できるのだ。洋楽に憧れた音楽少年たちが作り上げたかつての名曲たちは、時を超えても古びることなく、今の音としてファンの中に息づいている。

カタリベ: 馬飼野元宏

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