本木雅弘と滝藤賢一が“ミスター・ラグビー”平尾誠二とノーベル賞受賞医師・山中伸弥の友情を描くドラマで共演

「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」の開催でラグビーに注目が集まる中、テレビ朝日系では、11月11日にテレビ朝日 ドラマスペシャル「友情~平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』~」(午後9:00)を放送することが分かった。日本ラグビーの礎を築いた“ミスター・ラグビー”平尾誠二さんと、ヒトiPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授の知られざる友情物語をドラマ化。本木雅弘が平尾役で主演を務め、滝藤賢一が山中役で共演する。

平尾さんは、日本代表として活躍し、代表監督も歴任した元ラグビー選手。神戸製鋼コベルコスティーラーズ総監督兼ゼネラルマネジャーを務め、「2019年のワールドカップ日本大会を成功させたい」「1試合でもいいから、東日本大震災の被災地・岩手県釜石市で試合を行いたい」という熱い思いを抱いていた矢先、突然のがん宣告を受ける。普通なら狼狽(ろうばい)するところだが、持ち前の明るさとおおらかさで冷静に受け止め、病と闘う決意を固める。雑誌の対談で意気投合した平尾さんと親交を深め、家族ぐるみの付き合いをする親友となっていた山中医師は、平尾ががん宣告を受けたことを知り、医師として治療法や病院探しに奔走。病と闘い続けた2人、そして家族が過ごした最後の1年の物語を映像化する。

脚本を手掛けるのは、「Dr.コトー診療所」(フジテレビ系)や「リエゾンーこどものこころ診療所-」(テレビ朝日系)をはじめ、ヒューマンドラマの名手として名高い吉田紀子氏。大のラグビー好きとしても知られ、生前の平尾さんとも交流のあった吉田氏は、本木とタッグを組んだ「君と出逢ってから」(TBS系)で、本木の演じた主人公の名前を誠二にしたという逸話もある。

撮影初日、「平尾さんを演じるというプレッシャーというかおそれ多さというか…正直、なかなか覚悟がつかないままクランクインを迎えました」と語った本木。その言葉通り、撮影中も非常に悩み、迷って、苦しんだよう。その姿を目の当たりにした滝藤も「これだけの俳優さんでも、こんなに苦しみながら、迷いながら、平尾誠二さんという人間をつくっていくんだなという姿を間近で見せていただいて、すごく刺激を受けました」と撮影時の様子を明かす。

さらに、病に侵されていくさまを体現するため、本木は撮影中に10kg減量するなど渾身(こんしん)の役づくりで平尾に近づいていった。本木は「『こんな男はもう出現しない。みんなで平尾誠二を分けるしかない』と評した方がいらっしゃるのですが、確かに自然体でありながら特異なオーラを放った姿は、とても再現できるものではありません。私が演じたのも平尾さんの晩年のほんの一場面に過ぎませんが、あのノーベル賞受賞者の山中さんとの交流の中で生まれた親愛ともいう友情を受けて、平尾さんは病を前にしても自然体を心がけ、最後まで魂を磨き続けて、その輝きを全うした方なんだなと感じます。現実を落ち着いて受け止め受け入れ、自分の中で静かにその局面を凌駕(りょうが)する…そういう内面のたくましさをにじませられたらという思いで演じました」とその胸中を告白している。

また、山中教授を演じた滝藤も「世界的に有名な方なので、演じることは困難なチャレンジになるだろうと感じていました」と率直な心境を口にしつつも、「僕の言葉、リアクションはすべて本木さんによって生まれると信じて疑わなかったので『僕は本木さんしか見ていません』というようなことも、本木さんにお伝えさせていただいたように思います」と振り返る。

山中教授に寄せようとするのではなく、本木のセリフを受けて湧き上がった感情のままに芝居をし、「いかに本木さんとセッションするか」を考え、役に入っていったそうで、「本木さんの平尾誠二さんに懸ける思いは壮絶でしたね。撮影のない日も食事制限は続くわけですから、四六時中、平尾誠二さんでいるわけですよ。だから僕も“休みの日も山中さんでいなきゃいけない”という、使命感といいますか、プレッシャーといいますか、すさまじかったですよ。そういう意味でも、すごくいい影響を与えていただきました」と緊張感に満ちた撮影期間での苦労もにじませた。

そんな滝藤に対して、本木は「今作で初めて知った平尾さんと山中教授の関係ですが、普段、冷静沈着に映る山中さんが、実はラグビー経験者で情に厚い方と知って新鮮な驚きがありました。胸にたっぷりの情を抱えた方のイメージで、いつもジワっと瞳を潤ませ、心を寄せてくるお芝居が印象的な滝藤さんは適任だと思います。事実、山中さんが平尾さんに誠心誠意の伴走を繰り広げたのと同じく、自分にとっても滝藤さんの静かな包容力が響き伝わり、平尾さんを演じる中で大きな支えになりました」とよき信頼関係を築いたことを報告。

続けて、「本当は秘めておくべきことかもしれませんが、実は今回、ご遺族さまのご厚意により、平尾さんが実際に愛用、着用されていた品々をいくつかお借りすることができました。大変恐縮しながらも袖を通させていただき、身にまとうと、これ以上にない大きな力が吹き込まれた思いがしました。物語の中で、家族、仲間に宛てた、さりげなく深い愛情の込められたそれらの言葉は、正に平尾さんを通して発せられたものという気がします。寂しさも募りますが、このような形で平尾さんと共演できたことは、役者としてとても貴重かつ幸せな体験でした。2023年ラグビーワールドカップの盛り上がりを期待するのはもちろんのこと、『友情』という作品を通して、山中さんと平尾さんの思いを皆さんで共有し、日本ラグビーが、より広く深く愛されていくことを心より願っています」とメッセージを寄せている。

滝藤もまた「中盤以降はつらく苦しいシーンが多かったのですが、本木さんはじめ笑顔あふれるキャストの皆さま、藤田明二監督率いる優秀なスタッフの皆さまのおかげで、最後まで心穏やかに作品と向き合うことができました。そしてなんと、山中さんも撮影の見学に来てくださったんです。テレビで拝見していると、厳しい表情をしていらっしゃることが多い印象でしたので、ドキドキしましたが、目の前にいらした山中さんは、とても穏やかで謙虚な方で感動しました。現在『ラグビーワールドカップ2023』が盛り上がっているところですので、僕も全力で楽しみたいです。そして、多くの子どもたちがラグビーを好きになり、始めてくれたら最高ですね。この作品が、その後押しをできたらうれしいです」と熱い思いを述べた。

なお、ドラマの主題歌は松任谷由実の名曲「ノーサイド」。松任谷がラグビーの試合を見て感動して書いたというこの楽曲の起用には、本木も「プロデューサーの方から、この楽曲を考えていると撮影現場でお聞きした時に、うれしさのあまり、妻役の女優さんと一緒に思わず口ずさんでいました」と喜びをあらわにし、「ノーサイドという言葉には『試合が終われば、敵、味方もなく、勝ち負けを越えて互いを称えよ!』というラグビーの精神が込められているそうです。それが示すように、全ての人生を包み込む名曲だと思います」と語っている。

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