法人企業の景況判断、中堅・中小企業で「下降」超 山口財務事務所の景気予測調査

 財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)はこのほど、四半期ごとに実施している「法人企業景気予測調査」の結果をまとめた。調査時点は8月15日で、今期(2023年7~9月)の現状、翌期(同10~12月)の見通し、翌々期(2024年1~3月)の見通しについて山口県内113社に聞き、107社から回答が寄せられた。内訳は、製造業が46社(43.0%)で、非製造業が61社(57.0%)。企業規模別に見ると、大企業(資本金10億円以上)が25社(23.4%)、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が21社(19.6%)、中小企業(同1000万円以上1億円未満)が61社(57.0%)だ。

 今期の「景況判断」が、前期に比べ「上昇」したと答えた企業は17.8%で、「下降」との回答は21.5%。BSI(「上昇」と答えた企業割合から「下降」と答えた企業割合を引いた景況判断指数=ビジネス・サーベイ・インデックス)はマイナス3.7ポイント。前期(0ポイント)は前々期(マイナス13.1ポイント)より上向いたとの判断が多かったが、今期は「下降」超となった。

 業種別に見ると、製造業はマイナス13.0ポイントで、非製造業は3.3ポイントのプラス。規模別では、大企業は12.0ポイント。中堅企業はマイナス4.8ポイント、中小企業はマイナス9.8ポイントだった。

 全体の先行きについては、翌期は6.5ポイントのプラス、翌々期は逆に6.5ポイントのマイナスに転じる見通しだ。

 次に、2023年度の「売上高」(回答80社)は、前年度比6.6%の減収見込み。製造業は、パルプ・紙などで増収となるものの、石油・石炭、化学などの減収により、7.9%の減収見込み。一方非製造業は、医療・教育などで減収だが、小売や運輸・郵便が増収で、2.5%の増収見込みとなっている。

 そして、2023年度の「経常利益」(同80社)は、前年度比40.3%の増益見込み。製造業は、情報通信機械などが減益だが、化学やパルプ・紙などで増益となり、46.3%の増益見込み。非製造業は、運輸・郵便などが減益だが、情報通信や学術研究・専門・技術サービスなどで増益となり、3.0%の増益見込みとなっている。

 また、2023年度の「設備投資」(同87社)計画は、前年度比18.8%の増加見込み。製造業は、その他の輸送機械などで減少するが、電気機械や金属製品などで増加し、12.5%の増加見込み。非製造業は、小売などで減少するものの、運輸・郵便、金融・保険などで増加するため、49.4%の増加見込みだ。規模別に見ると、大企業(6.0%)、中堅企業(149.1%)は増加だが、中小企業(マイナス10.5%)は減少の見込み。

 「雇用」の現状BSI(同102社)は、30.4ポイントで、40期連続での「不足気味」超。翌期(34.3ポイント)、翌々期(30.4ポイント)も「不足気味」超は続く見通しだ。

回答企業からの声

 回答企業からは「住環境への関心の高まりからリフォーム需要が引き続き堅調なことに加え、業務拡大を図ってきた成果により大型案件を受注できている(建設)、「新型コロナウイルス感染症が5類に移行して以降、管理している商業施設の来店客が増えており、テナントからの賃料収入が増加している」(不動産)、「ホットケーキミックスなどの巣ごもり需要により伸びていた商品や、抗原キット等新型コロナウイルス感染症関連商品の売り上げが減少している」(小売)、「半導体市況の悪化を受け、半導体製造装置メーカーの設備投資需要が落ち込んでおり、半導体製造装置向けの部品の受注・生産が減少している」(金属製品)、「原材料価格の高騰に伴い製品価格を引き上げたところ、販売数量が減少している」(食料品)、「新型コロナウイルス感染症が5類に移行して以降、外出機運が高まっており、化粧品向けの需要が増加している」(化学)などの声が聞かれた。

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