ダムによって水没する前の1980(昭和55)年ごろの清川村宮ケ瀬地区の様子を記録した写真38枚を掲示した「昭和55年前後の宮ケ瀬写真展」が、宮ケ瀬ダム横の水とエネルギー館で開かれている。同村文化財保護委員会の主催で、11月中旬まで。
宮ケ瀬ダムは1969年に当時の建設省が計画を発表。2001年に本格運用が始まった。ダム建設によって281戸が周辺や厚木市内などに移転した。移転は1982年ごろから行われており、今回の写真には移転を間近に控えた集落の様子が記録されている。
中津渓谷の河原が水遊びに来た100台近くの乗用車でにぎわう様子や、神社の祭りで若者たちがみこしを川に入れて水をかけ合う様子、餅つきや正月の松飾り作りなど、当時の暮らしぶりが生き生きと写し止められている。
村役場に保管されていた多数の写真の中から飯塚利行委員長が選んだ。白黒写真や35ミリのポジフィルム、中型カメラの写真もあるという。
ただ、これらの写真を誰が、どのような目的で写したのかは分かっておらず、飯塚委員長は「作品の質や撮影の仕方などから考えると、水没前の宮ケ瀬を記録する意図で撮影したと推測される」と指摘。「昔の宮ケ瀬の様子を知っている人たちに見に来てもらいたい」と呼びかけている。同委員長が丹沢の自然を撮影した「四季丹沢写真展」も同時開催している。月曜休館。