インボイスは軽減税率減収穴を弱者に求めた制度

 野田佳彦元総理は「インボイス(適格請求書)制度」について25日、自身のコラムで2019年10月に消費税が10%に引き上げられた際の飲食料品と新聞代に対する軽減税率導入で、同じ取引で売り手と買い手が使う税率の食い違いを防ぐため導入されたが「軽減税率の導入によって国は約1兆円の減収となり、その穴埋め財源の1つが小規模事業者泣かせのインボイス導入です」と減収穴埋めの財源確保で弱者泣かせの制度ができたと指摘した。

 野田氏は「免税事業者から課税事業者への転換が進み、国は年間2000億円程度の増収になると試算している」としている。

 野田氏は「消費税には所得の低い人の負担割合が多くなる『逆進性』という問題がついて回る。自公政権はそのために軽減税率を導入したが、金持ちの食料支出の負担も軽くなるので逆進性対策の効果は薄い」と記述。

 そのうえで「私はカナダやニュージーランドなどが導入している『給付付き税額控除』(消費税負担分を低所得者に還付する制度)こそ、有効な逆進性対策だったと確信しているが、いまさらそもそも論を語っても仕方ありません」と諦めの心境もうかがわせている。

 インボイスの制度運用を延期するか、中止するか、再度、検討することこそ求めることが零細業者から期待されている。インボイス導入の弊害について野田氏自身「これまで売上高1000万円以下の事業者は免税でした。10月からはインボイスを発行するため課税事業者になるか、免税事業者のままでいるか、究極の選択を迫られます。課税事業者になれば税負担が新たに生じます。免税事業者を続ければ販売先の税負担が増えるため、契約解除で仕事が減るでしょう」と影響が大きいことを指摘している。(編集担当:森高龍二)

© 株式会社エコノミックニュース