長時間労働の監督指導、厚労省22年度 倉庫、トラックの事例も公表

厚生労働省は3日、2022年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめ、事例などとともに公表した。
 各種情報から時間外・休日労働時間が1カ月当たり80時間超と考えられる事業場や、長時間の過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象に実施。
 対象3万3218事業場のうち1万4147事業場(42・6%)で違法な時間外労働を確認し是正・改善へ指導した。このうち実際に80 時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は5247事業場だった。
 このほか賃金不払残業があったものが3006事業場(9・0%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが8852事業場(26・6%)あり、これらを合わせ対象の81・2%で労働基準関係法令違反が認められた。
 運輸交通業は対象の2177事業者のうち60・6%の事業者が労働時間、10・4%の事業者が賃金不払残業、23・1の事業者が健康障害防止措置で違犯が認められた。
 事例は違法な長時間労働を認めた3件と、長時間労働削減へ自主的な取り組み2件を公表した。
 長時間労働では倉庫業で商品仕分けを行う11人について最長1カ月201時間の違法な時間外・休日労働が認められたケースを取り上げた。
 一方、自主的な取り組みではトラック運送業(労働者数約100人)のスワップボディコンテナ車両や中継輸送の導入で、ドライバーの荷待ち時間約4-5時間が約30分程度に大きく抑えられ、年次有給休暇の取得率16%(2018年)を52%(21年)に向上した事例を公表した。

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