【MLB】 ナ・リーグのワイルドカード争い “幻の1イニング”がレースに影響?

写真:正念場に立たされたカブス・鈴木誠也©Getty Images

残り2試合となったナ・リーグのワイルドカード争いを整理しておこう。

今日の試合で2位ダイヤモンドバックスと4位カブスが敗れ、3位マーリンズと4位レッズが勝利した。マーリンズとレッズの勝利によって6位パドレスのプレーオフの可能性は完全に潰えることになった。

現在の順位表では、2位Dバックスが84勝76敗で3位マーリンズ(83勝76敗)に0.5ゲームのリードを付け、それを82勝78敗でカブスとレッズが1.5ゲーム差で追っている。

複雑な計算を要するア・リーグのプレーオフ争いとは異なり、ナ・リーグの場合は比較的単純になってきた。

2位Dバックスは4位のカブスとレッズにちょうど2ゲーム差を付け、マジックナンバーは1となっている。残り2試合でDバックスが2敗、レッズとカブスが2勝して勝敗が並んだとしても、カブスに対してはタイブレーカーを持っているため抜かされる心配はないが、タイブレーカーを持たれているレッズに対しては並ばれた時点で順位が下回ることになる。つまりDバックスとしては、明日以降、勝つかレッズが負けるかでプレーオフ進出が確定する。

3位マーリンズも同様にマジックナンバーを1としている。こちらはレッズとカブス両方に対してタイブレーカーを持っており、明日勝つか、負けてもレッズとカブスが負ければその時点でプレーオフ進出が確定する。

ここまでくると、逆転のシナリオはかなり望み薄になっていることが分かってくる。

しかし、もし逆転のシナリオが機能するようであれば、歴史に残る名ドラマを目撃できるチャンスになるかもしれない。

そのドラマを演出するかもしれないのが、マーリンズ対メッツの“残された1イニング”だ。

現地28日のマーリンズ対メッツ戦、8回にメッツが1点を先制し、1対0で迎えた最終回の9回表にマーリンズは逆転。試合を2対1とひっくり返し、まだ二死1・2塁の大チャンスを迎えていたが、そこで雨天のため試合はサスペンデッドになってしまう。この試合の残りは全日程が終了した翌日の現地10月2日火曜日に予定されているのだ。

現在、マーリンズは他のチームと比べて1試合少ない83勝76敗という成績だが、もし残りのパイレーツ戦に2敗し、逆にレッズとカブスが残り2勝すれば状況は変わってくる。

そうすれば、84勝78敗で並ぶレッズ/カブスに対して、マーリンズは83勝78敗となるため、残り1試合の結果を出すためにニューヨークへ戻ってメッツとの試合を再開する必要が出てくる。

そこでもしマーリンズが9回表2対1からそのまま勝利すれば、レッズ/カブスどちらに対してもタイブレーカーの関係で勝敗が並んでも、マーリンズがプレーオフ進出を決める(Dバックスがプレーオフ進出と仮定した場合)。もし、マーリンズがメッツにひっくり返されて敗れれば、レッズもしくはカブスがプレーオフに進出する。もしレッズとカブスが2チームとも84勝を挙げていた場合は、タイブレーカーでレッズがプレーオフに進出することになる。

さらに、その状況にDバックスも残り2敗して84勝に終わった可能性を考慮に入れてみよう。

もしマーリンズが勝ち、84勝でレッズとDバックスと3チームで並んだ場合は、タイブレーカーで2位マーリンズ・3位レッズという結果になる。もしマーリンズが勝ち、84勝で並んだのがカブスだった場合は、2位マーリンズ・3位Dバックスという結果になる。もし、マーリンズが敗れ、84勝でDバックス・カブス・レッズが並んだ場合でも、カブスが漏れて2位Dバックス・3位レッズという結果になる。

今のままではDバックスとマーリンズが順当にプレーオフを決め、メッツ戦の残り1イニングは再開されない可能性もある(その残り試合がプレーオフ争いや個人記録への影響がないならば、往々にして試合がキャンセルされることはある)。

しかし、鈴木誠也擁するカブスやエリー・デラ・クルーズ擁するレッズの奇跡の逆転劇のためには、この“残された1イニング”のミラクルが必要になる。

残り2試合、あるいは残り2試合と1イニング、ナ・リーグのワイルドカード争いから目が離せない。

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