【MLB】 レイズは打線沈黙、守乱で崩壊… レンジャーズが地区シリーズ進出

写真:本塁打を放ったレンジャーズ・カーター

レンジャーズがアップセットを完了した。

レンジャーズは4回、安定感抜群のレイズ先発ザック・エフリンから4点を先制。4番アドリス・ガルシアの先制ソロ、さらに二死2塁から8番ジョシュ・ヤンの放ったライト前のラインドライブに右翼手ジョシュ・ロウが飛びつくも、打球はグラブを掠めて外野を転々。その間に2点目が入り、ヤンは三塁に到達した(記録は三塁打)。そして、今シリーズ絶好調の新人・9番エバン・カーターがライトに2ラン本塁打を放ち、ビッグイニングを作った。

その後もレンジャーズが一方的な展開に。5回にもレイズのシリーズ5個目のエラーから作ったチャンスで追加点、6回にはマーカス・セミエンとコリー・シーガーのチームの絶対的1、2番コンビの連続二塁打で2点を加算して7対0となった。その後、レイズは7回に得点を返したが、大量ビハインドを返すには及ばず。7対1でレンジャーズが連日の完勝を見せた。

今季99勝を積み上げたレイズにとっては、あまりに残酷な幕切れとなった。

攻撃は2試合で合計1得点に終わり、前回のプレーオフから引き続いて33.2イニング連続無得点という、1991年から1992年のピッツバーグ・パイレーツ(29イニング)以来のプレーオフ連続イニング無得点を記録してしまった。(『Opta Stats』より)

そして、第1戦で犯した4個のエラーに引き続き、今日もエラーや守備の際どいプレーが失点に結びついてしまった。レイズの守備陣はシーズン通して、DRS(守備防御点)はメジャー10位、エラーの数も9位と平均以上の守備力を誇ってきた。しかし、プレーオフではまさかの守乱に悩まされた。

エラーのうち4個はセンターラインから発生したもの。ブランドン・ラウ、ワンダー・フランコというメジャー屈指の二遊間が離脱し、プレーオフでは本職三塁手のカーティス・ミードが二塁手に入ることになった。

シーズンを通して離脱者に悩まされながらも、分厚い選手層でそれを感じさせてこなかったレイズだが、最後の最後に攻守においてスターの離脱が悔やまれる展開になったことは確かだろう。

対して、レンジャーズはシーズン終盤に停滞して地区優勝を逃した鬱憤を晴らすような、完璧な試合運びを見せた。

昨日の先発ジョーダン・モンゴメリーが7回無失点と完璧な投球を見せたのに引き続き、今日もネイサン・イオバルディが6.2回1失点8三振のパフォーマンス。9月絶好調だったモンゴメリーと比べて、イオバルディは9月の故障からの復帰後は絶不調だった。それを思えば、完璧なタイミングで復活を果たしたといえるだろう。

さらに持ち味である強力打線も爆発。8、9番を打ったジョシュ・ヤンとエバン・カーターの新人コンビは大暴れを見せた。

9月に彗星のごとく現れた21歳のカーターは4打数3安打1本塁打3四球、さらに守備での好プレーもあった。新人王ファイナリスト候補のヤンも3本の長打を放ち、2得点2打点。下位打線でルーキー2人が暴れれば、上位打線ではチーム最強打者であるシーガーが打率.500と貫禄の活躍を見せ、ランナーを返した。

アキレス腱のブルペン、頭数不足が心配されたローテーションと投手陣に不安はあったが、このワイルドカードシリーズでは最高のパフォーマンスだった。これを継続できれば、リーグ最高勝率のオリオールズと戦う地区シリーズも面白いものとなるかもしれない。

この日も動員数は20198人と、1919年以来の低水準に落ち込んだ昨日の19704人から微増に留まった。レイズにとっては、プレーオフにしては閑散とした球場の雰囲気もあいまって悲しいシーズンの結末となった。

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